白鶴組に、花嫁さんの恋返し。 高月紅葉(著)/小路龍流(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)岸本武彦(きしもと たけひこ)…白鶴組組長代理。慎也の恩人。28歳。

 (受)里見慎也(さとみ しんや)…サト。休学・留年を経ての大学3年生。武彦の恋人。23歳。


<あらすじ>

 記憶喪失になったところを拾われたのをきっかけに白鶴組で暮らし始めた慎也は、記憶も戻り武彦と恋人同士に。白鶴組のメンバーからも公認の若妻として扱われ、大学へ通いながら家事や陸の幼稚園への送り迎えもこなしています。
 しかし男が9人身を寄せ合って暮らしている白鶴組では、慎也はなかなか武彦とふたりきりになれません。そこへ武彦が組長になるかどうかで、組内部が本格的に揉め始めます。


<感想>

 『白鶴組に、花嫁志願の恩返し。』の続編です。表紙イラストのサトから溢れ出る色っぽさ、人妻っていいですね。これまでは正直あまりピンときていなかった「人妻」の良さを教えていただけた、私にとっての記念すべき1冊になりました。

 前作では記憶喪失の状態だったサト。現在はすべて思い出していて記憶がなかった頃のことも覚えていますが、やはり記憶がなかったからこそ武彦に向かっていけた面もあったようです。恋心は変わらずとも、本来のサトは人に対して控えめな性格なんだと思います。そういう記憶喪失の後の葛藤が描かれた作品はあまり読んだことがないので、とても新鮮でおもしろかったです。

 武彦についても、ヤクザ3割、厳密には暴力団ではない白鶴組の組長代理でいることはやめ、代目を継ぐよう勧められる、というか圧力がかかります。武彦はサトのことだったり今の組長が戻ってくればいいという考えのもと拒否していますが、頼りがいのある武彦のことは周囲が放っておきません。

 揉め事や祭りの準備でまったくふたりの時間が取れない武彦とサト。焦らされ悶々としている様子が伝わってくるものの、互いを思う気持ちはブレないため、健気な人妻を見守っているようでずっと楽しく読めました。

 そんなふたりがようやくラブホになだれ込んでからはもう怒涛の絡み、サトをストレス解消に使いたくないという武彦の深い愛情が感じられます。絶倫攻が精一杯気をつかっているようで、結局は受を抱き潰してしまうという大好きな展開でした。

 そして今回も白鶴組の面々が活躍してくれて、にぎやかな雰囲気です。ジジィから幼稚園児まで男ばかりの大所帯のおかげで、サトの若妻感が際立って見えました。


<オススメ要素>

・アウトロー一家の組長代理×元記憶喪失人妻。


<関連作品>

・前作 (感想記事はこちらです


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