愛淫堕ち―若頭に仕込まれて― 高月紅葉(著)/Ciel(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)塩垣健一(しおがき けんいち)…ヤクザの3次団体の若頭兼社長。
(受)竹成聡(たけなり さとし)…大学生。アルバイトで生活費を稼いでいる。22歳。
<あらすじ>
家族とは疎遠で、居酒屋でアルバイトをして生活費を賄っている聡。大学の先輩の借金の保証人になってしまい、裏切られた聡はヤクザに売られてしまいます。
若頭兼社長の健一によって快楽に溺れた聡は、朦朧としながらも、子供の頃に出会いずっと支えにしてきた男のことを思い出します。
<感想>
2017年に電子配信された「愛淫堕ち~売春クラブの若頭に仕込まれて~」を改題、加筆修正、書き下ろし、あとがきを加えた作品で、300ページ越えで分厚いです。
舎弟たちから絶大な支持を得ている女衒担当のアウトロー攻と、初心な不憫受の組み合わせとくると紅葉先生の作品の中でいくつか思い浮かぶものがあるため、最初は定番な流れかな?と思っていたら……読み進めるほどにちょっとずつ様子がおかしいことに気づかされ、いい意味で裏切られていく展開がとても楽しかったです。
普通の苦学生だったはずの聡は、先輩の保証人になってしまったがためにヤクザに売られ、そこでかなりひどい扱いを受けます。風俗店で働く前の仕込みとして、聡の相手になったのが社長兼若頭の健一。健一のいる組は「大滝組系」の三次団体らしく、仁義なき嫁シリーズと同じ世界観なのがわかります。
聡がすっかり快楽堕ちさせられたところで、実は子供のころに健一と出会っていたことが発覚。しかも聡にとってはずっと支えにしてきた人のようで、それがわかった聡は自分から健一の愛人になる選択肢ないかと言い出します。
そこで大人な健一の方がいろいろと考えてしまうわけです。恋愛的な気持ちの上では互いに通じ合っているのはわかるのですが、ヤクザとカタギが一緒にいるには難しい問題が山積みです。
そして健一が聡を突き放す理由は他にもありました。途中で健一の視点も入ることで少しずつわかってくるのですが、聡の過去だったり聡自身のことだったりがこれまた衝撃で。一途に健一を慕う聡が与えてくる違和感の正体が明らかになるにつれて、聡に対する味方が変化してきます。本当は聡の方が怖い人なのかもしれません。
執着受(?)として覚醒した聡の行動はおもしろいぐらいに痛快でした。ここまでくるとむしろ裏社会の怖いおじさんたちのほうがマトモに見えてきます。
まだ自分の危うさに気づいてもいなさそうな聡、文字通り健一が飼ってあげるしか方法はなさそうです。舎弟さんたちともぜひうまくやっていってほしいです。
<オススメ要素>
・仕込み担当若頭×不憫なだけでは終わらない大学生。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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