白鶴組に、花嫁志願の恩返し。 高月紅葉(著)/小路龍流(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)岸本武彦(きしもと たけひこ)…白鶴組組長代理。慎也の恩人。

 (受)里見慎也(さとみ しんや)…サト。休学・留年を経ての大学3年生。事故で記憶喪失に。


<あらすじ>

 慎也は少年時代、変態に襲われていたところを武彦に助けてもらったものの、武彦は消息不明になってしまいます。
 大学生になってようやく慎也は武彦の居所をつかみますが、事故にあってしまい記憶喪失に。武彦に恩返しがしたいということだけを覚えていた慎也は、武彦が組長代理を務める白鶴組に押しかけますが……。


<感想>

 今年刊行された続編を読む前に、そういえば1作目はどんな話だったっけ……?と思い出そうとしたところ、とても楽しかったことは覚えているのに肝心の内容が頭から抜けているというよくある事態に。個性的なキャラもたくさん登場するため、復習も兼ねてまずはこちらの1作目をざっくりと読み返してみました。

 タイトルに「組」とありますが、厳密には暴力団とは一線を引いている男所帯のお話でした。なので基本的には社会からははぐれてしまった人たちのアットホームストーリー……の中でたまにチラリとシリアスが顔を覗かせるかな、くらいの印象です。

 どんなにウチはヤクザじゃないと主張したところで、武彦の現状は白鶴組組長代理。その世界とは全くかかわりのない人達から見れば、あまり区別がつくものではありません。和ませ要員の園児・陸の通う幼稚園での一幕が現実を突きつけてきます。

 ですがそこは古き良きアウトロー精神で解決へと導いてくれた白鶴組の皆様。加えて幼稚園の園長・藤潤先生がとってもいいキャラしてました。園長が昔は……っていうこのベタな設定がたまらなく好きなんです。

 主役たちの恋愛方面についても、サトの記憶喪失と武彦の初恋とがうまい具合に絡み合い、なんとももどかしいすれ違いが繰り広げられていました。めでたく想いが通じた後でさえ、大所帯の一家でサトと武彦が2人きりになる時間はなかなか取れず。これもしかしてこのまま終了!?と危機感を覚えましたが、そこは周囲の皆様がしっかりと空気を読んでくれました。おかげで思春期も真っ青なケダモノヒコさんを拝むことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。


<オススメ要素>

・アウトロー一家の組長代理×記憶喪失の押しかけ女房。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

BookLive!/
Renta!/
コミックシーモア/
ebookjapan/
BOOK☆WALKER


・続編 (感想記事はこちらです


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