緑土なす 天から降る黄金の花弁 みやしろちうこ(著)/user(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)今世王(こんせいおう)…レシェイヌ。異能を持つ王族。王朝最後の王。金髪。

 (受)足弱(あしよわ)…ラフォスエヌ。今世王の異母兄。片足が不自由で、杖をついて歩く。黒い短髪。


<あらすじ>

 翌年の秋に結婚式を控え、それぞれに準備を整えている今世王と足弱。そんなとき、隣国であるセイセツ国で「王室病」に似た病が流行していると報告を受けます。足弱だけが育てられる薬草「オマエ草」が病に効果があると知った足弱は、自分がセイセツ国に行って薬草を提供できないかと今世王に相談します。


<感想>

 『緑土なす 黄金の王と杖と灰色狼』、『緑土なす きみ抱きて大地に還る』『緑土なす きみに捧げる花の名は』に続くシリーズ4作目です。オール書き下ろしの2段組で、ふたりの結婚式に至るまでの1年と、ついに迎えた式本番の様子をじっくりたっぷり堪能できました。

 今世王と足弱は2年後の結婚を約束していたので、式が「来年の秋」となるといよいよ迫ってきたなという感じがします。一足先に結婚したワンさんの式に出席した足弱も、今世王と歩む未来に改めて納得した様子でほっこりしました。

 しかし隣国での流行病の報せが足弱の気持ちを揺らがせていました。自分にしか育てられない薬草が効くとわかれば、優しい足弱がなんとかしたいと考えるのも納得です。でも王族の行動ひとつが国同士の関係に影響することから、兄上一筋の今世王が難色を示すのもわかります。

 周辺国からすればなんとも複雑な結果がもたらされた足弱の「お見舞い」だったわけですが、足弱の王族としての自覚が促され、さらに今世王の深すぎる愛が拝めて読者としては大満足でした。

 なかなか正気に戻ってこれなかった今世王と、それを自分の力でどうにかしようとする足弱には非常に萌えます。しかもそんな状態にもかかわらず足弱のことは絶対に離さない今世王……このシーン大好きだったので、一進さん視点でも読めたのは嬉しかったです。

 最後の王族の結婚式は圧巻でした。世界中が彼らを祝福し、当然今までで一番嬉しそうな今世王から幸せをたくさんわけてもらえた気がします。「衝撃の初夜」もこのふたりらしくて笑ってしまいました。最後の王族たちがどうか末永く一緒にいられるよう願っています。


<オススメ>

・シリーズ4作目。


<関連作品>

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