悪癖 2 /イイモ 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)大門燈弥(だいもん とうや)…会社員。自称平和主義。

 (受)小島楊平(こじま ようへい)…会社員。営業部のエース。


<あらすじ>

 会社を休んで実家に戻った大門は、小島との電話で祖母との思い出を吐露します。その後電話越しに一人で盛っていた小島の相手をした大門でしたが、部屋の外にいた母親に聞こえていたことが発覚します。


<感想>

 大門と小島の過去が明らかになってくる濃すぎる2巻でした。小島についてはもはやサスペンスで、ひたすらに「ひぇぇ……」となっていました。

 それに対して私にとってはよりリアルで怖いと感じたのが、大門の家族について。大門の過去って、外から見ればごく普通の家庭な分、誰でも共感できる部分があるのではないでしょうか。まったく同じとまではいかなくても、似たような気持ちのやりとりは日常的に自分たちのすぐ近くで起こっていそうで血の気が引きました。「いい人」を押し付けられるのもつらいし、知らぬ間に自分も押し付ける側に回っていやしないか、つい我が身を振り返ってしまいました。

 なので大門が母親を拒絶し、それを小島が受け入れてくれたシーンには救われる思いでした。自身を歪ませてまで守ってきたものを壊すのはきっと悲しいとは思うのですが、自分を認められる幸せを得られるならそう悪い話でもない気がします。このときの大門の涙を笑い飛ばしてくれた小島が私には超人に見えました。大門が思いを新たにするのも納得です。

 かといって大門が小島のすべてを暴けるかといえばそれはそれで大変そうでした。小島を殺さないために大門も命を懸けなければならないと見せつけられたクラブショー。凄惨なショーが繰り広げられる一方で、変態だらけだと思っていた小島の周囲にも本当は小島を助けたい人がたくさんいたのには安心しました。

 ひとまずはおさまりのいいところでの幕引きとなっていましたが、まだ次巻へと続いているので闇鍋の全容はわからないままです。巻末の描き下ろし「大門のAV遍歴」はひたすらに明るくて、楽しい気分で読み終えられました。先生のあとがきでの「お疲れ様です」の一言がこれほど心に沁みたことはありません。


<オススメ要素>

・「怪物」と「魔性」を縛る過去。


<関連作品>

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