海辺のリゾートで殺人を 楠田雅紀(著)/夏河シオリ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)阿久津昇平(あくつ しょうへい)…フリーライター。30歳。

 (受)相良瑞樹(さがら みずき)…会社員。25歳。


<あらすじ>

 高級離島リゾートのモニターに当選し、一人で参加することになった瑞樹。クセの強い参加者たちに囲まれ内心では悪態をつきつつも、ツアー中に知り合ったライター・阿久津が一緒のときは楽しい時を過ごしていました。ところが、離島に到着して2日後の夜、ツアー参加者が巻き込まれる事件が発生します。


<感想>

 あまりのおもしろさに激しい寝不足になりました。未だおさまらない高揚感の中、勢いにまかせて感想を書いています。あぁおもしろかった!

 タイトルが物騒ではありますが、これが大変に親切。豪華客船で行く海辺の高級リゾート地で殺人事件が起こります。現場はネットも電話も繋がらなくなった離島、当然犯人は島内にいるらしい……自然に囲まれゆったりした時間が流れているはずの島に突如訪れる緊迫感と疑心暗鬼。目を覆いたくなるようなシーンもあるものの、最後まで読むと印象が全く異なってくるのは本当に凄かったです。

 しかもツアー参加者の皆様がクセの強い人ばかり。いかにも一番に犠牲になりそうなキャラクターがいっぱい出てきます。意外だったのは、そんな人たちに対して瑞樹がきっちりと心の中で悪態をついていること。現実にもいそうな嫌な人たちへの悪口を代弁してもらえたみたいに感じられて爽快でした。

 ミステリーとしてはほどよくヒントが散りばめられていて、要所で引っかかりを感じられるようになっていた印象です。おかげで事件の真相については予想がついても、それが明らかになったときにどうなってしまうかがわからず、気になって気になってページをめくる手が止まりませんでした。

 もしもこのお話がBLではなく、恋愛要素の薄いミステリー小説だったとしたら、犯人の処遇について私は賛成できなかったと思います。ですが、事件と同時に進行していた阿久津さんと瑞樹の恋愛模様を見せてもらえたことで、すべて納得できました。阿久津さんの包容力半端なかったです。実はみんなに愛されていた瑞樹への、とても大きな愛を感じるラストでした。恋愛とミステリーが優しく融合したような、良いお話に出会えました。


<オススメ>

・離島BLサスペンス劇場。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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