毒を喰らわば皿まで ~木曜日生まれの子供達~ 特装版 十河(著)/斎賀時人(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

(攻)ヨルガ・フォン・オスヴァイン…元王国騎士団長。アンドリムの番。50歳。

(受)アンドリム・ユクト・アスバル…元・悪の宰相。見た目は20代の54歳。前世の記憶がある。

 

<あらすじ>

 前世の記憶を取り戻してから12年が過ぎたアンドリムは、夫のヨルガとともに首都からは距離を置いた生活を始めています。そこへ本国宰相より、アンドリムの隠し子が見つかったとの連絡が。真実を確かめるため、アンドリムは最後の旅へ出発します。

 

<感想>

 シリーズ5作目、アンドリムが54歳になっておいででした。ということは、1巻の時点で既に示されていた「その時」が間近に迫っている……次代を担う子供たちの道標となるべく、終焉を見据えての旅立ち。少しの感傷を伴いつつ、最後にふさわしい壮大で非の打ち所のないほどに作りこまれた物語でした。本当におもしろかったです。

 隠居生活に入っているアンドリムとヨルガの様子からも時の流れがうかがえますが、特にアルベールとダンテの成長したお姿が眩しい。アンドリムに似てきているというアルベールの計算高さや、ダンテとの相思相愛ぶりにニヤニヤが止まりません。これだけでも孫世代の将来はいろいろ安泰なのだと確信できてしまいます。

 お話はどこを切り取ってもアンドリムの魅力にクラクラしっぱなしでしたが、中でも驚かされたのはこちらのシリーズが「転生」モノである事実へ切り込む内容だったこと。序盤で前世の記憶は朧げになったと言っておいてのまさかの回収には目を瞠るばかりでした。

 すごかったところを挙げていったらキリがないためもう何も言えない状態なのですが、今後もどうか皆様の物語が続いていってほしい気持ちでいっぱいです。何卒よろしくお願いいたします。

 
 

『特装版付属特別小冊子』

<感想>

 特装版小冊子には1~4巻発売時の販促用SS、書き下ろしSSが4編、コミカライズを担当されている戸張さわ先生の特別寄稿イラストが収録されていました。過去の特典類は手に入らなかったものもあるので、まとめて読めるようにしていただけて嬉しいです。

 一番印象に残ったのが、最後に収録されていた「復讐の四月」。巧妙に仕組まれたそれぞれの思惑が交錯しつつも、結局は皆アンドリムの手のひらの上で踊らされている……SSながらひとつ大きな物語を読ませてもらった気分です。いつでも容赦のないアンドリム様に何度でも惚れ直せる、これだけでもシリーズの雰囲気を存分に味わえるすごいお話でした。

 
 

<オススメ>

・シリーズ5作目。
・近衛騎士×最後の賢者。

 

<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

ブックライブ/
Renta!/
ebookjapan/
DMMブックス

 
・シリーズ
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