<登場人物>
(攻)田辺一寿(たなべ かずとし)…お笑い芸人。眼鏡。40歳。(受)佐和山爽(さわやま そう)…田舎の電器屋の息子。23歳。
<あらすじ>
お笑いコンビの相方だけが売れてしまい、週7連休になった田辺。腐っていくまま田舎に帰省し、そこで脱走中のヤギに遭遇。ヤギを追いかけてきた爽とは初対面でしたが、爽は田辺のファンだといいサインを求められます。<感想>
「じゃない方芸人」になってしまった四十路の田辺さんと、大学卒業後に田舎へ逃げ帰ってきた爽くんのスローライフ救済ストーリー……とてもいい話だった気がします。腐った心で毒を吐きまくる田辺さんと、実は変態な爽くんのおかげでわけのわからないおもしろさも堪能できました。当人たちはいつだって真剣な様子なのがさらに笑いを誘います。序盤の爽くんには他に好きな人がいるため、歳もかなり離れている田辺さんと一体どうやって距離が縮まっていくのかワクワクしました。そしていつもすごいタイミングで田辺さんの心をグラつかせてくる爽くん。押しが強かったり急に素直になったりナチュラルに変態だったり。こんな素敵な爽くんにのどかな田舎暮らしは窮屈なのでは、と考えもしましたが、脱走したヤギやニワトリを追いかけている姿が楽しそうで見ていて元気がでます。
それから爽くんが田辺さんの本物のファンなのも、田辺さんの心を効果的に動かしていて巧いなぁと唸りました。腐りかけてはいるけれどまだ完全にダメになってはいない田辺さんを、すんでのところで踏みとどまらせたのはおそらく爽くん。若者らしく振り回してくる爽くんに意地悪してしまっても、ちゃんと反省して前に進もうとする田辺さんに大人らしさを感じました。
外で傷ついてきた者同士、故郷で良い影響を与え合っていたのが本当によかったです。全員関西弁なのもなんだかずっと楽しい。爽くんがしょっちゅう追いかけている動物たちも個性が強くてかわいかったです。
<オススメ>
・四十路の「じゃない方芸人」×爽やかに変態青年。<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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