表題作『ドラッグレス・セックス』で3組、+短編、中編の全部で5組分のお話が収録されています。紙本カバー下では先生のあとがきが1P、『好きにしたいよ』のふたりで1P収録されていました。
『ドラッグレス・セックス[杉野と桧木]』
<登場人物>
(攻)杉野康一(すぎの こういち)…オフィスデリの店員。
(受)桧木透(ひのき とおる)…サラリーマン。堅物。眼鏡。
<あらすじ>
患者自身に好意を持つ者に性的興奮を誘発させる「フェロモン症」。発症してしまった桧木は、薬を飲みながらも自分は人に好かれる性格ではないため問題はないと考えていました。しかし、オフィスデリで働く杉野の視線が気になり……。
<感想>
2話+[おまけ]の描き下ろしで、コミックスの中では一番話数が多かったのがこちらのふたりです。フェロモン症にはなったけど自分を好きな人なんていないし、と思っていた桧木さんをまさかの事態が襲います。
誰が発症しているのか、が鍵になってくるので、最初にフェロモン症のしくみをしっかりと理解せずに読み進めてしまった私は1話の時点ではなんとなくわかったような気になっていました。そしてその後を読んでいる途中で「そうか、そういうことだったのか!」となり、かなり遅れて萌がやってくることに。設定はちゃんと理解してから進もうと学びました。
1話では本番なしでとどまっていた桧木さんと杉野くん。描き下ろしでは立派にとんでもないことになっておられました。
『ドラッグレス・セックス[辰見と戌井]』
<登場人物>
(攻)戌井(いぬい)…高校生。
(受)辰見(たつみ)…高校生。フェロモン症。
<あらすじ>
フェロモン症の辰見は、迫ってこられても困ることはないからと薬を飲まずに学校でやりたい放題。放課後、準備室で教師と事に及ぼうとしていたところに、戌井が入ってきてしまいます。
<感想>
フェロモン症を都合よく利用している辰見。女にモテる男子が発症するなら、たしかにこういう活用法に走ってしまうのもわかるような気がします。
それ故調子に乗っていた辰見が、はじめは戌井に奉仕させる形だったはずが、途中で形勢逆転、自ら進んで薬を飲むところまでいくのは見ていて爽快でした。
辰見に似ているというアイドルなっつん(貞操観念は緩め)が本当に似ていたのに笑いが止まりませんでした。次巻ではこちらのふたりがメインとのこと。楽しみです。
『ドラッグレス・セックス[無良と薬師寺]』
<登場人物>
(攻)(受)無良(むら)…科学者。生化学界注目株の天才博士。
(攻)(受)薬師寺(やくしじ)…科学者。無良の助手。
<あらすじ>
フェロモン症の抑制剤がまだなかった頃、性犯罪の急激な増加は国を揺るがす問題となり、無良の研究チームは日々抑制剤の開発に追われていました。
<感想>
ここまでの2作品よりはおそらく20年以上前、まだ「フェロモン症」という病名もなかった時代、抑制剤の開発に取り組んでいた科学者のふたりがメインのお話です。
助手と自分を被験者にしてまで研究に勤しむ無良博士はいかにもな天才博士。最初は無良×薬師寺、それからリバにまで突入するふたりはなんというかもう大変そうです。はじめのうちはあんなに凛々しい表情で国の問題に立ち向かっていたのに……。決意を新たにするおふたりに敬意を払いたくなりました。
『駄目な男』
<登場人物>
(攻)水川(みずかわ)…森山のお隣さん。レストラン勤務。
(受)森山(もりやま)…ダメな男。
<あらすじ>
勤めているレストランで、お隣さんの森山が妻と修羅場を迎えているところを目撃してしまった水川。帰宅してから、「慰めてあげたい」とやましいことを考えていたら、隣の部屋から大きい物音が響いてきます。
<感想>
世話焼きのゲイ・水川と、家事を妻に任せきりで逃げられてしまった森山のお話。
エンゾウ先生の描かれるキャラクターは皆さん味があって大好きなんですが、中でもこちらの水川はずば抜けて美形な気がするのは私だけでしょうか。このお方、どこから見てもかっこいい。そんな水川が森山への想いを口にして表情を歪ませるのがたまりませんでした。
『好きにしたいよ』
<登場人物>
(攻)真澄(ますみ)…藤生の四歳年下。
(受)藤生(ふじお)…生後0ヶ月の真澄に恋をした。
<あらすじ>
実家が隣同士の藤生と真澄。生まれたばかりの真澄に恋をした藤生は、その後真澄を口説きに口説き、真澄が高校生の時に長年の想いを実らせ、二人仲良く勘当されました。
<感想>
当初は表題作になるかもしれなかったというのがとても頷ける、すごいインパクトのある作品でした。
生まれたての真澄に初恋を捧げたという藤生。隣人相手に立派なストーカーに成長、ありとあらゆる真澄との記念日を記憶し、指紋や髭など真澄のすべてを集めようとする姿は狂気すら感じます。しかしそれが真澄の冷静なツッコミもあって微笑ましく見えてしまうのが不思議です。
一緒にいてもどこかクールに見えていた真澄も、藤生に負けず劣らずの執着心を持っていたことには萌えました。しかも藤生とはまた違ったベクトルなのがとても良いです。よくこんなことを思いつくなあと笑うと同時にずっと感心していました。
<オススメ要素>
・貞操には十分ご注意ください。(帯より)
<関連作品>
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・続編
(感想記事はこちらです)
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・CD
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