花弄り 雌蕊の婚姻 西野花(著)/石田要(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)ウィロウ…雄蕊(アルファ)。異国から遊学でやってきた。金髪に青い目をもつ。
(受)槐(えんじゅ)…雌蕊(オメガ)。末摘花国第一王子。
<あらすじ>
末摘花国の第一王子として生まれながら、雌蕊であるとわかった途端に後宮に追いやられ、3人の愛人達に囲まれて暮らしている槐。ひとりになりたくて訪れた後宮の庭に、突然異国の男・ウィロウが現れます。一目見ただけで抗えないほどの欲情を覚えた槐は、同じ状態のウィロウと身体を重ね、その日からウィロウは後宮の愛人のひとりに加わります。
<感想>
インパクトある表紙をめくると、カバー折り返し部分の石田先生のコメントに「ここまでエロい挿絵ははじめて」の文字が。西野先生初のクロスノベルス、俄然期待が高まります。
物語は、和風ファンタジーな国・末摘花が主な舞台のオメガバースです。末摘花ではアルファは雄蕊、オメガは雌蕊、ベータは草と呼ばれていて、受の槐は雌蕊=オメガです。この呼び方は末摘花独自のもので、他の国ではつかわれていないようです。
国の第一王子でありながら雌蕊であるために後宮暮らしの槐。発情を抑えられない槐のために、後宮には槐の愛人が3人います。冒頭ではこの3人と槐の4人の絡みシーンがあります。後宮の愛人とはいえ、この3人は槐にとても優しく、本気で槐のために尽くしているのがわかります。この後に登場する本命のウィロウも、この3人には嫉妬はしないと語っていました。なるほどこれが受ハーレムなのですね、と納得の甘さです。
後宮の庭に突然現れたウィロウは、槐と初めて会ったその場で事に及んでしまうほど惹かれあいます。運命の番ですね。異国から遊学のために末摘花にやってきたというウィロウは、その日から後宮の愛人の一員になります。
ですが貴重な王族の雌蕊である槐は、政略結婚の道具として他国に嫁ぐことが決まっています。そのことを受け入れている槐は、ウィロウと期限付きの恋をすることに。
後半では槐が嫁ぎ先でひどい目にあわされるシーンがありました。雌蕊である槐に痛そうな感じはしませんが、本命以外とのアレコレが苦手な方は注意した方がよさそうです。ただ、ここでのプレイがなかなかに激しかったので一見の価値はあるかと思います。
特にすごいと感じたのが、全編通して肌色シーンの連続でも、相手が愛人、当て馬、本命とそれぞれとの絡みごとに受ける印象が違うこと。当て馬の無理矢理感はまた別物として、愛人たちとの間にも愛はあるのに、ウィロウとだとやはり槐には彼が本命だとわかるのです。先生すごい……!(偉そうなことを言ってすみません)。
本編のあとには短編が2つ収録されていました。1つはオメガバースならではの後日談、もう1つはウィロウ視点のお話でした。
<オススメ要素>
・怒涛の肌色オメガバース。
・石田要先生のイラストを新書サイズで。
地雷注意:モブ姦。
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