モブは王子に攻略されました。 天野かづき(著)/陸裕千景子(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)クロード…アリエスの王子。金髪。

 (受)森山奈津(もりやま なつ)…平均よりやや地味なモブ顔。20歳。


<あらすじ>

 姉が制作した18禁乙女ゲームを攻略中に、落雷にあった奈津。気がつくとゲームそっくりの世界にいた上に、ヒロインと同じ立場に置かれてしまいます。
 ドラゴンの脅威に晒されているアリエスを救うため、愛した者に力を(18禁的な方法で)与える使命を負った奈津。事前にゲームで攻略済のキャラクターについては順調にフラグを折っていきますが、ひとりだけ未攻略だった王子だけはうまくいかず、奈津との距離を詰めてきます。


<感想>

 明るくて平和なお話が読みたくなり、縋りつくように手を伸ばした結果、見事に大当たりでした。主人公の奈津は開始数ページで命を落としてしまうという冷静に考えればヘビーな設定ではあるものの、奈津は第2の人生に常に前向きに生きているので暗い雰囲気にはならず楽しく読めました。

 奈津はゲームにそっくりな世界に召還されますが、そこにはゲームの設定以上の広い世界が広がっていて、主役やモブを問わずキャラクターそれぞれに人生があります。はじめは困惑していた奈津でしたが、割とすぐに馴染んでいました。

 ちょっと意外だったのが、奈津が必死にフラグを折っていたのにもかかわらず、貞操はあっさりと奪われてしまったこと。クロードの手管に翻弄される奈津に無理やり感はなかったんですが、怒った奈津は城から逃げ出してしまいます。

 そこから奈津は地道に働き始めるんですが、このあたりが特にモブっぽかったです。クロードが追いかけてきても、「所詮自分はモブだし」という考えからのふたりのすれ違いは、かわいいけれど妙に説得力がありました。

 ゲームの世界ならではの奈津の困惑ぶりや突っ込みもおもしろかったです。最初にフルネームを名乗ってしまったばっかりに一々名字から名前までを繰り返されたり、クロードの発言に対し『エロゲみたいなこと言うなーっ!』と怒鳴ったり。

 そこかしこにくすりと笑えるネタがたくさんちりばめられていて、王道のストーリーながら飽きずに最後まで楽しめました。


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