明神さまの妻迎え 高月紅葉(著)/den(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)いづな…天狗の総領。美形。

 (受)啓明(ひろあき)…宮大工見習い。元暴走族総長。霊感体質。


 雪風巻(ゆきしまき)…いづなのために働く管狐。姿は狐耳にしっぽを持つ子供。


<あらすじ>

 暴走族を引退し今は宮大工の見習いをしている啓明は、かつての仲間・雄二が山に肝試しに行ったまま行方不明になってしまい、バイクで単身捜索へ。しかし超霊感体質の啓明は、山中で別の次元へと転げ落ちてしまいます。
 そこで出会ったのは、天狗の総領だといういづなと、子供の姿をした雪風巻。しかし力が弱っているといういづなは雄二をもとの世界に帰すのが限界だったため、啓明はひとりで残ることになります。


<感想>

 和風な異世界モノ、だと思います。紅葉先生の壮大なシリーズものも大好きですが、他とのつながりを意識せずにすっきり読める単発本もいつも楽しみにしています。

 なりゆきだったとはいえ啓明は元総長、神様のいづなに対してまったく怯まず堂々とした態度を続ける姿は男気に溢れています。おかげで美形の神様・いづなが若干ヘタレに見えてきました。

 そうはいってもいづなは神様。あちらの手練手管も神様級。力を取り戻すために啓明が必要ないづなは啓明をいつも翻弄していますが、強気につっぱねられ最後の一線を超えることはしません。

 そんなふたりがようやく結ばれるきっかけとなるのが、狐耳にしっぽの子供・管狐の雪風巻でした。表紙イラストの笑顔が眩しい雪風巻、こういうコがかわいそうな目にあうのは苦手意識がありましたが、啓明といづなが文字通り体を張って助けてくれたので結果的にいい話に思えてきます。

 そんなこんなで一線を越えることになったふたりの絡みシーンがなんかすごくよかったんです。いづなが神さまだからなのか啓明がずっと男前だったからなのか、それともここまで焦らされたからなのか……。「誰かのため」の儀式なのに、愛に溢れた感じがしてこれだけでとてもお気に入りの一冊になりました。肌色シーンについて語るのはちょっと恥ずかしいんですが、書かずにはいられなかった素敵な場面でした。


<オススメ要素>

・美形神さま×元ヤン。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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