推しはα 夜光花(著)/みずかねりょう(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)人見蓮(ひとみ れん)…アルファ。佑真の同僚。イケメン。26歳。

 (受)鈴木佑真(すずき ゆうま)…ベータ。旅行会社勤務。平凡。26歳。


<あらすじ>

 美形が大好きな、自称なにもかもが平凡の佑真。そんな佑真の日々の楽しみは、同じ職場の美形アルファ・人見を見守ること。遠くから愛でるだけで満足だと思っていた佑真でしたが、人見が退職して実家に帰るのを機にプロポーズされてしまいます。


<感想>

 夜光花先生初のクロスノベルス+オメガバース、普段とは異なる雰囲気にドキドキしながら手に取りました。私はオメガバースを読むときはいつも多少の覚悟を決めてから本を開くのですが、表紙をめくってまず目に入るみずかねりょう先生の口絵のかわいさにさらに予測がつかなくなりまして、こんなに読み始めるときのスタンスに迷ったのは久しぶりです。

 前半は、推しは愛でるタイプのオタク気質佑真と、イケメンながら不思議発言の多い人見とのコメディ寄りな雰囲気。どうにも噛み合わないふたりのやりとりが楽しくてオメガバース作品であることを忘れかけていたのですが、出版社あらすじの「奇想天外オメガバース!」の言葉通り、後半に第2の性別をめぐる大事件が発生、大変なことになっていました。

 自称平凡キングの佑真にとって、イケメンの人見は愛でるべき対象であって、人見の求愛がどうにも伝わらないのには笑いが止まりません。オタクな読み手として共感できるのはどうしても佑真の方で、佑真の人見への感情が恋愛に変わる時はこないのでは、と何度も思ってしまいました。

 そんなふたりが少しいい雰囲気になってきたところで、佑真が策略に嵌められてしまいます。これは本当に佑真がかわいそうだったのですが、佑真を含め周囲がきちんと怒ってくれたり、人見が命懸けで動いてくれたことでどうにか受け入れられました。とはいえこの事件のおかげで佑真が結婚の決意に至るわけなので、必要不可欠な要素だったのだと思います。むしろオメガバースでなければくっつかないふたりだったのかも、と考えるとすごく巧妙に練られているお話に思えてきて感動を覚えました。

 和風ファンタジーに濃厚な絡み、オタクと推しの距離感などなど見所いっぱいで、中でも私が一番お気に入りになったのが、わー子が佑真にくっついていってしまうところでした。わー子が傍にいることで、佑真は絶対に悪いようにならないし、今までの出来事も決して不幸ではなかったと信じられます。

 それにしても、変わり者だらけのお話な中、平凡を自称していた佑真が実は一番ふつうから遠いところにいる気がしました。妖怪まで餌付けしてしまうって、よっぽどです。すごい。


<オススメ>

・美形アルファ×推しは愛でるタイプのベータ。


<関連作品>

・シリーズ
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