防人の男 水原とほる(著)/兼守美行(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)大守季一郎(おおもり きいちろう)…陸上自衛隊陸准尉。36歳。
(受)美作礼一(みまさか れいいち)…検事。都内T市支部勤務。美人。31歳。
<あらすじ>
検事の礼一は地検でのエリートだったものの、理不尽な圧力により支部へと左遷されます。半年後にさらにとどめを刺される結果になった礼一は、場末の飲み屋でヤケ酒を煽り、その場で出会った大守と一夜の関係を持ちます。後日礼一は自衛官の機密漏洩事件を担当することになり、調査で陸軍駐屯地を訪れたところ、そこで陸准尉・大守と再会します。
<感想>
国を守っている男たちの水面下での戦いがドラマチックに描かれていました。私が読んだのはギリギリ2020年ですが、こちらの本の初版は2014年。作中で起きる事件は一昔前に話題になったことがどうしても想起されます。私が勝手にそう感じるだけで本の内容と現実は実際には全く異なってはいるのですが、なかなかに際どくてリアルな印象なのはさすがでした。これを出版当時に読んだらどう感じていたか、6年前の自分に聞いてみたいです。
エリート街道を歩いていたはずが、担当事件について圧力がかかり、不運にも左遷されてしまった礼一。ヤケ酒中に出会った大守と関係を持ち、一夜限りだと思っていたはずが後日捜査対象として再会します。この礼一が新たに担当になった案件というのが、自衛官による機密漏洩事件で、やがては大国の思惑が絡み合う複雑なものへと発展していきます。
私ではうまく説明できないのがもどかしいですが、一見硬くて難しそうな事件にもかかわらず、不思議と混乱なく読めました。馴染みのない駐屯地内での話も、「シャバ」の人間である礼一の視点で語られるために客観的でわかりやすいのかもしれません。
恋愛面ではふたりとも仕事との間に線を引きつつも、お互いに情熱的で萌えました。自衛官の大守が容姿も中身もものすごく魅力的に描かれていて、そんな大守が自分を疑っている可能性のある美人検事に対して「骨抜きにしてくれよ。期待しているぞ」だなんて……!これはモテるに決まっています。かっこいい。
挫折と向き合いそれぞれの方法で噛み砕いて生きている大人達の姿は、私自身と比較すると自分が情けなくなるものの、同時に大きな励ましももらえます。すべてはフィクションだと理解しつつも、今日もどこかで私たちの暮らしを守ってくれている誰かに感謝せずにはいられません。
それから兼守美行先生のあとがきイラストにはほっこりしました。殺伐とした事件に向き合う時間が多そうなふたり、こんな朝を少しでもたくさん迎えられますよう祈っています。
<オススメ要素>
・防人の男×美人検事。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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