ピアノマンは今宵も不機嫌 水原とほる(著)/ミドリノエバ(イラスト)
記事内に広告が含まれています。
<登場人物>
(攻)大垣泰介…休学中の学生。25歳。
(受)遠藤史也…都内の広告代理店勤務。31歳。
<あらすじ>
都内の広告代理店でコピーライターとして働く史也は、ある日クライアントからの誘いでジャズバーを訪れます。そこでピアノを披露した泰介の演奏に、ジャズは初心者ながら心を奪われます。
ジャズバーからの帰り道、史也は慣れない夜の街で犯罪に巻き込まれそうになりますが、そこに泰介が現れ機転を利かせて助けてくれます。それをきっかけに史也は泰介との距離を詰めていきますが、そこに文也の元恋人が現れ、やり直したいと告げられます。
<感想>
水原先生の作品は作家買いしています。なので大抵あらすじにも目を通さずに読み始めてしまうのですが、ページを捲って泰介が年下攻だとわかったときは思わずガッツポーズをしそうになりました(「陰猫」が大好きなので……)。
小説の舞台で音楽が流れているとき、音色について細かく長く語られる文に実は苦手意識がありまして……。これは全くもって私の想像力が貧相なのがいけないのですが、こちらの作品ではジャズについては初心者の史也の視点で語られるのもあって、ほどよい加減の文章で大変読みやすかったです。ありがとうございます。
史也は広告マンとしてぶれずに仕事をしていて、恋愛についても冷静に捉えていて年上として好感がもてます。史也が弱っているときに泰介に会って思わず泣いてしまうのも、普段しっかりしている分とてもかわいらしく見え、そりゃ泰介も惚れるわと納得。
一方の泰介は、ピアノはあくまでバイトであって、自分の将来には確固たる目標があるといいます。そんな泰介に、才能があるんだからと無理にでもピアノを進めるのではなく、本人の夢を応援するという展開になるのが大人の関係な感じがして好きになりました。
年の差があっても、互いにほどよく甘え甘やかす関係性がとてもよかったです。大人の男の恋愛との向き合い方をおしゃれに堪能できる良いお話でした。
コメント