まじない歌人の恋心 水原とほる(著)/Ciel(イラスト) 

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<登場人物>

 (攻)和田瑛士…弁護士

 (受)相良雅文…区役所職員


<あらすじ>

 区役所で働く公務員・相良雅文は、幸せをもたらす歌を詠んでいたことで有名な歌人・相良文丸を先祖にもっています。しかし、ある日突然区役所を訪ねてきた見知らぬ女性が、雅文を名指しで呼び出した挙句その歌人のせいで災いがふりかかっていると号泣。雅文はその女性から依頼を受けているという弁護士・和田とともに調査を始めますが、実は文丸が「呪い歌」を詠んでいたのではないかという疑いが浮上します。


<感想>

 地元限定とはいえ学校で習うほどの歌人が先祖にいたら、当然誇りに感じると思います。でもその先祖が人を幸せにするどころか「呪い歌」を詠んでいたとしたら、ショックだし、理由だって知りたくなります……。

 そんな雅文に、冷静に協力してくれる和田弁護士。この和田さんがとにかくいい男です。スーツ姿にちょっとのやさぐれ感がいい。以前はかなりのやり手弁護士だったようですが、今は小さな事務所でご近所の相談事にのったりすることが多いようで、とても真面目。恋愛には消極的な雅文も、和田には一目で惹かれてしまいます。

 「呪い歌」について明らかになっていくにつれて、二人の周囲が不運に見舞われます。動揺する雅文を支える和田が頼もしい。負けずに呪いを終わらせることに成功しますが、そこに隠されていた真実(おそらく)が、悲しいだけかと思いきや、とても優しくもありました。

 ちょっとだけホラー要素もありますが、怖くはありませんでした。そして二人の距離も違和感なく近づいていくのでBLとしても大満足です。

 全体がとてもきれいにまとまっているので、ここがいい!とかこのセリフが!というのが上手くいえなくてもどかしいのですが、なんだかとてもいいお話を読んだ気分になりました。

 それから本編とは関係ないですが、水原とほる先生の本を読むときにいつも楽しみにしているのが、あとがき。先生って一体何者なんだろう……? 謎は深まるばかりです。


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