乱れ咲きのΩ~未亡人Ωはβを欲しがる~ /楽田トリノ 【漫画感想】

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 大きく分けて全部で4作品が収録された短編集です。そのうち最初の2作品は『狂い咲きのΩ』の続編となっていました。



『華の咲くころ』

<登場人物>

 (攻)青周(あおちか)…α。名家の当主。

 (受)紫怜(しれい)…Ω。元男娼。青周とは番を解消している。


<あらすじ>

 Ωなのに子供を産まないからと、毒を盛られてしまった紫怜。青周のもとを離れ、紅真のところに預けられ保護されています。
 久しぶりに青周と会った紫怜は、ベッドで「一番欲しいもの」を聞かれ、隠していたことを正直に答えてしまいます。


<感想>

 『狂い咲きのΩ』の表題作「華玩具」の続きです。番は解消されてしまったものの青周の側にいると誓った紫怜でしたが、子供を産まないΩをよく思わない使用人から毒を盛られてしまいます。

 なかなかに物騒なオープニングでしたが、紫怜本人がのほほんとしているおかげでシリアスな雰囲気にはならず安心して読めました。青周とは離れて暮らしているものの、うまくいっているみたいです。

 Ωに子供を産ませることはせずに家に引導を渡すという青周の意志は変わっていないのに対し、紫怜については別の理由から青周との子供が欲しいと考えていました。これがもう本当に健気で……。以前よりだいぶ強気に出られるようになった紫怜、今後の成長も楽しみです。



『乱れ咲きのΩ~未亡人Ωはβを欲しがる~』(表題作)



<登場人物>

 (攻)紅真(こうま)…β。分家の生まれ。紫怜を本家に献上した。

 (受)翠(みどり)…Ω。歳の離れたαの番を亡くしている。


<あらすじ>

 青周の先代が年配の貴族に貸していた館「青楓荘」。貴族が亡くなり、館を管理しているΩのよくない噂を耳にした青周は、紅真に確かめてくるよう命じます。


<感想>

 表題作はこちらで、前作から活躍していたβの紅真が攻に昇格しています。お相手は新キャラでΩの翠です。

 貴族αが亡くなり残された館で未亡人Ωが乱交三昧している、と噂が立つほどの翠。けれど真相を確かめにきた紅真が見たのは、番を亡くした翠が淫乱を装いながら苦しんでいる姿でした。

 複数のβを呼んで「処理」をする翠の姿は乱交そのものなのに、愁いを帯びた未亡人らしさのせいか艶っぽさが尋常ではありません。乱交シーンはほんのちょっとですが、きれいな絡みでした。

 翠の事情を知っても飄々とした態度を崩さない紅真。好みだからと翠に手を出しつつも、実はとても優しい人に思えてきます。そんな中、分家生まれでβの彼がコンプレックスを感じているのが垣間見えたのは新鮮でした。

 そして回想に登場する「墨人さん」と翠のやりとりがこれまた素敵で。翠の思い出があまりにもきれいで、切なかったです。墨人とは全く違う人種に見える紅真と、翠にはこれから楽しく笑って過ごしてほしいと願うばかりです。



『夢みる宝石』

<登場人物>

 (攻)アレックス…ルイの学生時代の先輩。元寮長。

 (受)ルイ…アレックスの後輩。


<あらすじ>

 家に多額の負債があるルイは、学生時代に憧れていた先輩・アレックスにそれを肩代わりすると持ちかけられます。しかしその条件はルイがアレックスの友人たち相手に「仕事」をすることでした。


<感想>

 名ばかり貴族の家のため、学生時代に体を張って借金を返していたルイ。それでも憧れの先輩・アレックスには必死で隠していたようです。なんて健気な受……。

 そんなルイの行動も虚しく、アレックスにはすべてバレていました。アレックスがルイの家の負債を肩代わりするかわりに、仕事と称してルイはアレックスの旧友たちにアレックスの目の前でモブ姦されることになります。

 ルイを見つめながら笑顔さえ見せていたアレックスですが、こんな手段を取ることになった彼の想いは後半で明かされていました。確かに、好きな子が自分にだけ頼ってくれなかったら悲しいのはわかる気がします。

 カバー下あとがきでこのお話はメリーバッドエンドとあり、なるほど確かにとそこで初めて感じました。というのも、事実だけを見れば相当重いお話のはずなのですが(ルイの背負っていたものは借金だけではなさそう)、とても綺麗なものを見せてもらえた気持ちになっていたのです。いい具合にさらりと描かれていたおかげでしょうか、不思議です。



『堅物オオカミととろける三毛猫』



<登場人物>

 (攻)ロウ…オオカミの獣人。喫茶店勤務。

 (受)三毛(みけ)…ネコの獣人。オスの三毛猫。


<あらすじ>

 貴重なオスの三毛猫な上に強いフェロモンが出てしまう三毛は、襲われていたところをオオカミの獣人・ロウに助けられます。これまで逃げてばかりだった三毛は、いっそロウに食べられてしまいたいと考えますが……。


<感想>

 先生の同人誌『WOLF’S CAT』シリーズを元にしたリメイク作品だそうです。全2話の収録ですが設定が凝っていて、主役以外にも気になるキャラクターがたくさん登場します。

 はじめは人間界の猫だった三毛、それがケモノ界に流れ着きケモミミの姿に。そんな「ナガレモノ」と呼ばれる三毛はオスを誘惑するフェロモンが強く出てしまい、襲われてばかりで疲弊しています。

 助けてくれたオオカミの獣人・ロウにも、いっそ食べられてしまいたいとの覚悟で身を任せたところ、別の意味でおいしくいただかれてしまったというかわいいお話でした。

 ロウに匂いをつけてもらわないとひとりで出歩くのも危ない三毛は、「毎朝ロウのを顔とかにかけてもらうには」とロウの喫茶店のスタッフに真顔で相談してしまうほどの初心さです。大きめのネコミミに3色尻尾がかわいくて仕方なかったです。

 2話ではイヌのお姉さん方のご協力のもと、オモチャがフル活用されていました。羽にローターにアイマスクなどなど、かわいい三毛が大変なことになっています。



<オススメ要素>

・しっとりエロい健気受。



<関連作品>

・前作
感想記事はこちらです


・WOLF’S CAT

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