少年の境界 3 /akabeko 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)朽木薫(くつき かおる)…α。製薬会社勤務。ゆかの幼馴染で番。

 (受)広瀬ゆか(ひろせ ゆか)…Ω。薫の幼馴染で番。


 (攻)大我(たいが)…α。ゆかの中学時代の友人。

 (受)倫(りん)…Ω。大我の番。


<あらすじ>

 妊娠がわかり、周囲との違いに不安定になるゆか。ゆかを支えたいものの、うまくいかない薫はひとりで中学の同窓会に参加します。そこで大我と再会しますが、倫に記憶障害の兆候が見られることを聞かされます。


<感想>

 2巻までで薫×ゆか、大我×倫が番として落ち着き、それぞれが家族として新たな一歩を踏み出していました。

妊娠はしたものの、やはり男性は珍しかったり、同級生たちとも異なる環境に身を置くゆかが不安定になるのは理解できる気がします。お互いの苦しみを完全に共有することってオメガバースでなくても不可能だと思うので、薫とゆかが懸命に相手を尊重しつつ歩み寄ろうとする姿にはこちらまで励まされるようでした。

 その一方で、途中あまりにも悲劇的だったのが大我と倫。ゆかにしたことや倫を救えなかった大我の後悔が切ないです。倫の記憶が退行したことで、大我が頑なに倫を番にしなかった訳や、当時の倫の気持ちもわかってきて切なさは増すばかりです。誰か……大我は何も悪くないと言ってあげてほしいです……。

 それぞれの苦悩を通してこの社会の残酷さが浮き彫りになり、それを少しでも変えようと奔走する薫がかっこよかったです。薫の上司が言っていたように今の現実を作り上げたのがαとβだとすれば、変えられるのもαとβなのかもしれないと考えさせられました。それも番と生まれてくる子供への愛が原動力になっているのなら、オメガバースも捨てたものじゃないと思えます。

 倫が失った記憶については戻る希望があっても、起こったことは変えられないってどうしてもつらいと感じてしまいます。でも描き下ろしでの「その後」が幸せいっぱいで、やっぱりこのままが最高だなと笑顔になりました。過去を悔やむより未来のために生きたほうがいいんだと、初めて本気で思わせてもらえたお話でした。

 カバー下も必見です。先生の創作過程を少しだけのぞき見させてもらえているようでドキドキしました。


<オススメ要素>

・シリーズ最終章。


<関連作品>

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