パブリックスクール―ロンドンの蜜月― 樋口美沙緒(著)/yoco(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)エドワード・グラームズ…エド。イギリスの名門貴族。海運会社CEO。28歳。

 (受)中原礼(なかはら れい)…イギリスと日本のハーフ。日本では美術雑誌の編集員。26歳。


<あらすじ>

 イギリスに渡り、エドと一緒に暮らし始めた礼。日本での経験を活かし美術系の仕事を探し始めたものの、就職活動は難航。エドの名前はできるだけ使いたくない礼でしたが、あまりに大きい家名の影響は避けられず挫折を味わいます。


<感想>

 シリーズ5冊目はエドと礼のお話でした。なので最初は3巻の続きかな、と思ったのですが(4巻は主人公が違ったので)、引き続き登場するデミアンの作品におそらく4巻での出来事が影響していて、時系列も4巻の後だと思われます。こういう細かい所で互いに影響し合っているのがわかると、彼らが同じ世界に生きているのが感じられて嬉しくなります。

 日本を離れ、イギリスで暮らし始めた礼。束の間の蜜月だったものの、巻を追うごとにエドの溺愛が加速しているような。礼がわかりやすく愛されていて私も幸せです。

 ハーフとはいえ根っこの部分は日本人の気質が感じられる礼は、やはりイギリスで生活するには苦労が尽きないようで。アーティストと作品を取り巻く状況についてとても勉強になると同時に、優しい礼の心中を考えると泣きそうになりました。ひとりで抱え込んでしまう礼に頼ってもらえないのは、エドや友人たちもつらかったのではないかと思います。でもそんな礼を愛しているからこそ皆様辛抱強く見守ってくれるのもわかるので、美しい関係性だなぁとシリーズに触れるたびにため息がこぼれます。

 礼はどちらかというと作品を売る側というよりは、アーティストの方に近い感情を持っているように見えました。制作者とは違う立場から作品をこんなに愛してもらえたら、アーティストの皆さんも嬉しいだろうなと思います。

 最後のギルと礼のシーンが綺麗でとても印象的でした。今回エドの権力を使ったことで礼の中では決定的な諦めがついてしまった様子。それは見ている側からも少し寂しさを感じさせるものですが、でもこれもひとつの歩み寄りなんだと思います。これからも礼はエドとこうやって愛を深めて生きていくんだろうなと自然と思えてくる、美しいラストシーンでした。


<オススメ>

・シリーズ5作目。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

ブックライブ/
Renta!/
コミックシーモア/
ebookjapan/
BOOK☆WALKER


・シリーズ
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