狂い咲きのΩ /楽田トリノ 【漫画感想】
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シャルルコミックスのテーマアンソロジーに載っていた楽田トリノ先生の作品が1冊にまとまった短編集です。全部で4作品の収録です。
『華玩具』『華玩具・序』(表題作)
<登場人物>
(攻)青周(あおちか)…α。名家の次期当主。
(受)紫怜(しれい)…Ω。元男娼。青周の子を産ませようと紅真が連れてきた。
紅真(こうま)…β。分家の生まれ。紫怜を本家に献上した。
<あらすじ>
場末の娼館にいた元男娼の紫怜は、名家の世継ぎを生むため次期当主の青周のところへ連れてこられました。一度は番になったふたりでしたが、青周は突然理由も言わずに紫怜との番を解消してしまいます。
<感想>
最初に「オメガバースの設定について」という説明書きが1ページあります。出版社ごとに独自のルールを決めているものと勝手に解釈していましたが、こちらでは「~という設定も多く見られます」という表記が見られ、細かい設定については作家さんに任せているのかな、と思いました。
最初の『華玩具』では、紫怜はすでに番を解消されています。紫怜はそれを、自分が元男娼で汚れていて、しかもそれを隠しているのがバレてしまったせいだと思っています。
番を解消されてしまった紫怜は発情期がきてしまい、紅真に手を出されてしまいます。ここは具体的な表現はありませんでしたが、苦手な方は注意した方が良さそうです。でもその後で、紅真が紫怜の身体に残した痕跡を青周が辿り直すのには萌えました。
収録順は『華玩具』の次に『華玩具・序』がきますが、『華玩具・序』はふたりの過去の話、紫怜が青周の家にやってくるところからになります。
ここでふたりが初めて番になった経緯が明らかになります。後に青周が「死にかけたのを忘れたか」という発言をしている通り、本能に抗えない青周が獣になります。紫怜が健気で良い子です。
巻末の描き下ろしはこちらの後日談でした。紅真が変わらずいい性格をしていますが、悪役に徹しているようでいて、本心は別のところにありそうで気になっています。
『王子と従者の夜』『王子と従者の蜜月』
<登場人物>
(攻)アーミル…使用人。褐色肌。
(受)ジョシュア…当主。金髪碧眼。
<あらすじ>
英国貴族のジョシュアは使用人のアーミルと身体の関係がありますが、アーミルは「主人を慰めているだけ」という態度を崩しません。ジョシュアはそれが不満ですが、ある理由からアーミルに対しては強く言えずにいます。
<感想>
ジョシュアは表面上はツンデレ当主といった感じで、手なづけるためにメイドとも寝ているアーミルに対してツンツンしています。
本当は自分だけにしてほしいジョシュアですが、自分達の出自から、ジョシュアはアーミルに憎まれていると思っています。ふたりの本当の関係はなかなか衝撃的なものに思えますが、背徳感だったり悲壮感はそれほど感じませんでした。でも冷静に考えれば考えるほど萌が滾ります。ジョシュア……。
白い肌のジョシュアと褐色肌のアーミルの濡れ場がとても綺麗です。おかげで理想の「褐色BL」が見つかりました。
『碧の腕』
<登場人物>
(攻)河(かわ)…町医者。
(受)瞬(しゅん)…小さい頃に父親を亡くした。家庭環境が良くない。
<あらすじ>
瞬は幼い頃に河で溺れた時、「何か」に助けてもらったことがあります。その「何か」の腕に必死にしがみついた瞬には、「俺の嫁にでもなるか」と言われた記憶が残っています。
<感想>
傷ついた身体で河のところにやってきた瞬は、おそらく母親が連れ込んだ相手に暴力を振るわれています。そのたびに瞬は河のところにやってきていて、アレコレされているみたいです。
初出は「バケモノBL」だったらしく、田舎の瑞々しい空気の中での仄暗い展開。河先生がイケメンなのもあって、ビジュアル的にはそんなにバケモノ感はなく、楽しめました。
『蜜毒のガイダンス』
<登場人物>
(攻)松浦(まつうら)…生徒指導の教師。
(受)愛葉(あいば)…優等生。
<あらすじ>
生徒指導の松浦の机に置いてあった、優等生・愛葉の乱交写真。相談室で理由を聞く松浦に対して、愛葉は先生が自分とすればもうこんなことはしないと挑発してきます。
<感想>
「メスイキBL」掲載時から大好きだった作品。面倒な性格の愛葉がかわいいです。
最初は自分の乱交写真(合成)を先生の机に置いてしまうことからヤンデレな子なのかと思いました。けれど、相談室では一生懸命強がっているのに、遠くから松浦先生を見つめていたときの表情がもう。できれば愛葉が卒業して、晴れてふたりが恋人になる姿まで見たかったです。
<オススメ要素>
・様々なタイプの健気受が揃っています。
地雷注意:寝取られ、兄弟(おそらく父親が同じ)、人外(河童)、等。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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・シリーズ
(感想記事はこちらです)
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