神の飼育―真白き神の恋― 沙野風結子(著)/座裏屋蘭丸(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)敷島…輝土国の軍事最高統括者。第十九代宗主。先代宗主の弟。
(受)桐羽…長命な天人。もとは天の浮き島に住んでいたが、「神」として地上に囚われている。
<あらすじ>
人間の約10倍長く生きる天人(あまびと)の桐羽は、かつては天の浮き島に住んでいましたが、恋をした人間に騙されて地上に連れてこられ、「神」として囚われ続けています。国の歴代宗主によって、100年に渡って慰み者にされてきた桐羽。国は新たな代替わりを向かえ、国の軍事最高統括者である敷島が19代目宗主となります。敷島はこれまでの宗主たちとは違い桐羽に対して冷ややかな態度で接し、桐羽に「お前は神などではない」と言い放ちます。
<感想>
沙野先生、座裏屋先生、触手、ときてしまえば手に取らないわけにはいきませんでした。なんと美しい表紙。沙野先生がご自身のブログで「触手ちゃんも美人」とおっしゃっていて、なるほどその通りだとものすごくしっくりきました。美人触手。なんていい言葉。
触手が出てくるとどうしてもそちらにばかり関心が向いてしまうのですが、物語の方は国の行く末を巡る壮大さでした。この世界の大陸には輝土(かぐつち)・ガラ・ノイエという3つの国があって、かつては国境を巡って戦乱の世が続いていました。それを停戦に導くために取り入れられたのが、「神制度」。それぞれの国に1人ずつ神を置き、その神は三位一体で等しい価値がある、とすることで三国は停戦に至ります。
輝土の国で「神」にされたのが、天人である桐羽でした。天人とは、寿命が人間の100倍近い上に、宙に浮かんで飛翔することができる種族のようですが、それ以外は人間と変わらず、神様ではないようです。普段は天の浮き島に住んでいる天人ですが、桐羽は地上に遊びにきたときに恋をした地上人に騙されて輝土の神にされてしまいました。
100年も宗主達の慰み者にされてきた桐羽は、新しく宗主となった敷島が自分を神扱いしないことに憤ります。ですが「神制度」を否定する敷島はそれをわからせるために桐羽を巡業に付き合わせ、桐羽は次第に目が覚めるように敷島の考えを理解していきます。
その途中で、言う事を聞かない桐羽に対しての折檻道具として登場するのが、触手さんでした。椅子とセットの触手椅子です。はじめは桐羽をいたぶるためだけの道具でしたが、ふたりが惹かれあうようになってからは、敷島は嫉妬や葛藤故に桐羽を触手椅子に座らせます。
それからこれはちらりと出てきただけなんですが、最後には敷島自身も触手に囚われながら抱いてくれた、と桐羽が思い出しているのがものすごく萌えました。あとがきで先生が、敷島の触手まみれのシーンを入れられなかったことが心残り、と話していて、攻ごと触手まみれ!!見たい!!と謎の期待値が上がりました。私が触手に求めていたのはこれだったのかと何かが開けた思いです。
触手の話ばかりになってしまいましたが、こちらは「神制度」を導入した三国、輝土・ガラ・ノイエそれぞれを舞台にした三作の連作予定だそうです。触手は裏の主役です。イラストはそれぞれ異なる先生が担当されるとのこと。これからも楽しみにしています。
<オススメ要素>
・シリーズ一作目にふさわしい壮大な世界観。
・座裏屋蘭丸先生のイラストがどこまでも美しいです。
・透明触手。
<関連作品>
・シリーズ (感想記事はこちらです)
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