夢を生む男 沙野風結子(著)/北沢きょう(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)九条伊織(くじょう いおり)…調律師。42歳。敬語眼鏡。

 (受)伏見暁(ふしみ あきら)…夢生み。27歳。


 九条湊士(くじょう そうし)…朔の調律師。九条総研社長。37歳。

 伏見朔(ふしみ はじめ)…夢生み。暁の兄。30歳。


<あらすじ>

 予知夢に介入できる「夢生み」の能力を持つ暁は、5年前に出奔したものの事故に遭い家に連れ戻されます。夢生みを導く調律師・伊織と再会し、これまで家のために夢を生んできた兄が目覚めなくなったと聞かされた暁。このままでは弟が九条家に利用されると考え、自分が家業を継ぐ決心をします。


<感想>

 今向き合っている場面が夢か現実か、暁と伊織、両者の視点を変えることで真実が見えてくる不思議なお話でした。

 予知夢に介入して現実に影響させる能力を持つ「夢生み」の一族と、代々夢生みを庇護してきた「調律師」の一族の組み合わせに萌えずにはいられません。夢生みの力は凄すぎる故に暴走もしやすいらしく、それを調律師が声で導くという一体感がたまらないです。しかも調律師たちは自分の夢生みただ一人のために声を調整しているって、これは運命と言っていいのでは。

 身内を守るために家業を継いだせいで、暁にとって一番心を許せる相手だったはずの伊織は敵の立場に。互いを想っているのにどちらも突き放す行動をとってしまうのが辛いです。身体の距離は近いのに、このふたりが心を通わせる日がくるのか本当にわからなくてヒヤヒヤしました。

 そんな中、作品全体の設定をフルに活かしたプレイには大興奮でした。その名も攻口枷。執事風堅物の伊織(42)が自ら口枷をしようとは一体誰が予想できたでしょうか。しかもなかなかにマニアックな形状の口枷を繰り出してくる上、それを暁の小学生の弟に見られてしまう衝撃。ここはさらっと描かれていましたが、私の記憶には深く刻み込まれました。

 伊織と暁がハッピーエンドを迎える脇ですごく気になる動きをしていたのが、湊士と朔。それはもうドラマチックな恋に溺れている気配がしていて、妄想が止まりません。このふたりがメインのお話も読んでみたいです。


<オススメ>

・夢生みを導く調律師×予知夢を見る能力持ち。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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