神の聖婚―機械仕掛けの神と復讐者― 沙野風結子(著)/笠井あゆみ(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)セルガ…ノイエの神。機械人形。
(受)レイ…科学技術者。ノイエを総括する「管理者」。眼鏡。24歳。
<あらすじ>
有能な科学技術者が「管理者」となり国を統括する技術大国ノイエ。先代管理者の孫であり24歳にして新しい管理者となったレイは、「神」のメンテナンスも担っています。
子供の頃の出来事からセルガへの恨みを持つレイは、セルガに痛覚回路を搭載し、苦痛と快楽を教え込ませて復讐しようと企みます。
<感想>
『神の飼育―真白き神の恋―』、『神の落淫―黒豹国主と新たな神―』の続編です。「神制度」によって支えられていた輝土・ガラ・ノイエの3つの国のお話で、完結巻の今回はノイエが舞台です。
3部作の最終巻、ノイエはこれまでのお話にもちらほら出てきましたがこの1冊だけでも世界観や国の情勢はわかりやすいのではないかと思います。輝土やガラのことも時々出てくるので、前の2作を読んでいるとなるほどと頷ける部分もありました。
ノイエは技術大国というだけあって、神のセルガは機械人形、国を総括するのは有能な科学技術者とあり、SF色が濃かったです。機械人形×科学者という組み合わせはファンタジーなはずなのに、不思議と近未来を感じられる不思議な雰囲気でした。
そしてシリーズの裏ヒロイン・触手さんも大活躍でした。今回は触手水槽に飛び込んでくれたものですから、攻も受も触手まみれ、私の見たかった触手がここにありました。ありがとうございます。
BL的萌というよりは、感情がある(と思われる)機械人形との少し過激な恋愛の育み方を見せてもらえた気がします。近い将来現実に起こるかもしれない……と感じさせられる絶妙な描かれ方でした。
人間よりは圧倒的に寿命が長い機械人形たちはその分感情が育つのがゆっくりなようで、セルガの他にもたくさん登場する機械人形の誰もが少し子供っぽくて可愛らしく見えてきます。彼らが人間と対等に暮らせる日がなるべく早くくるといいなと祈りたくなりました。
(※コミコミスタジオさんで2019年8月31日まで開催中のガッシュ文庫フェアの特典小冊子に、このお話の番外編(20年後のふたりの様子)が掲載されています。)
<オススメ要素>
・シリーズ最終巻。
・機械人形×科学者。
・触手大活躍。
<関連作品>
・シリーズ
(感想記事はこちらです)
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