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<登場人物>
(攻)雑賀明渡(さいが あきと)…地元の大きな地ビール会社「雑賀ビール」の息子。
(受)蛇抜苑(じゃぬけ その)…マッサージ師。東京で働いている。
<あらすじ>
再会した苑と明渡はバーに向かいます。明渡は酒、苑は炭酸水を飲み、昔を思い出しながら会話をしていた時、苑はふと、以前来たときにはなかったポスターが貼られているのに気がつきます。
<感想>
「キス」本編、あとがき、先生のnoteにアップされているこばなし、の続きにあたるお話でした。
夜道を歩く苑と明渡は、以前苑が城戸さんと訪れたことのあるバーへ入ります。そこで少しずつ昔を思い出しながら会話するふたり。苑が明渡といて「嬉しい」と感じていることに、読んでいるこちらが嬉しくなりました。
そして、苑はバーに以前来たときにはなかった写真が貼られているのに気が付きます。ドアノーの「パリ市庁前のキス」というポスターだそうですが、マスターいわく、それは劇的な偶然を装った仕込みの写真。仕込みだったことについて苑と意見が割れても、明渡は笑顔で吹き飛ばしてしまいます。そんな明渡を、苑はまた好きになります。
店を出て駅まできたふたりでしたが、明渡は自分はタクシーで帰ると言い出します。「落胆してるわけじゃない」と自分に言い聞かせる苑がかわいいです。そして別れ際、何気ない風で呼び止められ、振り返った苑に、明渡がキスをします。人前でのキスに「ありえないから」と言い捨てて足早に改札へ向かってしまう苑。また離れちゃうの……?と不安が過ぎりましたが、明渡が「またな」と言ったことと、苑に連絡先を残していってくれたことで希望が繋がりました。
最後は城戸さん視点になります。同窓会に行っていた城戸さんも実はこのとき駅にいて、苑と明渡がキスしているのを城戸さんの友人が目撃していました。養子離縁届にサインしたときのことを思い出す城戸さん。少しひっかかりがあったようですが、次の日の苑の反応を見て、「よかった」と思えたようでした。
ここがこうよかった、という具体的な感想が難しくて書けないのですが、苑と明渡がゆっくりとでも一緒にいる様子が読めてよかったです。回想になるとやはり切ないものがありますが、苑の気持ちは今しっかり明渡に向いていますし、明渡も変わらずすごい人でした。
本編がかなり切なかったとはいえ、苑と明渡のことは大好きなので、またふたりのお話が読める日がくればいいなと心待ちにしております。
<関連作品>
・本編
(感想記事はこちらです)
(感想記事はこちらです)
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