愛ってどこにある? 水原とほる(著)/水名瀬雅良(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)市村貴生(いちむら たかお)…研究開発室室長。人たらし。34歳。独身。

 (受)添島樹(そえじま いつき)…美貌のバーテンダー。26歳。


<あらすじ>

 人たらしで常に人の輪の中にいるのに、いつも孤独を感じている貴生。結婚願望はありますが、八方美人が災いし恋愛からは遠ざかってしまっています。
 そんなときに出会った美貌のバーテンダー・樹。どこか自分と共通するところのある樹に惹かれた貴生は、バーで多くの人に口説かれている樹をダメ元でデートに誘います。


<感想>

 人たらし故に皆から好かれているのに、八方美人だと思われて恋愛に発展しない男・貴生。34歳にして室長の肩書きを持ち、かなり人好きのする容姿な上に結婚願望もある超優良物件なのに、未だに独身です。仕事を終えてひとりの自宅へ向かう途中、寂しさのあまり(ああ、愛ってどこにあるんだろう……?)と心の中で呟いてしまうような人です。

 そんな時に出会ったのが、貴生も一瞬で目を奪われてしまうほどの美貌を持つバーテンダー・樹。バーでは樹目当ての客も多いのに、どこか寂しそうに見える姿に貴生は自分と共通するものを見出し惹かれていきます。

 貴生が断られる覚悟で誘ったデートでしたが、意外にも樹は誘いに乗ってくれます。その後はまるで恋人のようにふたりの距離は縮んでいくように見えるのですが、樹は肝心なところで貴生との間に線を引いていて、その本心は読めないままです。

 結論から言うと樹本人はとてもいい子だったんですが、彼の背負っている過去が想像以上に重かったです。周囲を惑わしてしまうほどの美貌というのは非常に厄介なもののようでした。

 貴生はあれこれ考えすぎて優柔不断なところがありますが、樹への気持ち自体はブレがなさそうだったので気持ちよく読めました。八方美人と言われ続けてきた年上攻が、年下の美人受への独占欲を覚えて暴走気味になる展開は癖になりそうです。

 恋愛の障害になるような大きな事件や事故は起こらないものの、貴生のふたりの親友がとてもキャラの濃い人達で、樹との間に若干の波乱をもたらしてきます。空気の読めない堅物男と美人元カノの組み合わせがとても楽しく、このふたりがくっついたらおもしろそうだな、と何度も考えてしまいました。


<オススメ要素>

・八方美人年上攻が年下美人受に夢中になるお話。
・最初から最後まで攻視点。





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