白雪姫の息子 犬飼のの(著)/笠井あゆみ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)ビースト…毎日クロウの許にやってくる獣人。

 (受)スノーホワイト…クロウ。白雪姫の息子。


<あらすじ>

 第二王子として生まれたスノーホワイトは、難産の末に母の白雪姫が亡くなってしまい、錯乱した父王によって森の奥の塔に幽閉されてしまいます。
 その後は「クロウ」として生きてきたスノーホワイト。育ててくれたエルフを失い、孤独に暮らしていたクロウの許に現れたのは、野獣のビーストでした。クロウがビーストを塔に招き入れると、ビーストは突然たくましい獣人へと姿を変え、クロウを蹂躙してきます。


<感想>

 意味深な書き出しに始まり、次から次へと起こるダークな展開にぐいぐい引き込まれていきました。人によっては受け付けないだろうな、と思えるシーンもあるんですが、ディープな童話の世界観を構築する一端を担っていると考えれば、あれもこれも必要なことに思えてくるのが不思議です。

 タイトルには白雪姫とだけ出ているものの、内容はいろいろな童話が混ぜ合わさっている感じです。そしてそのごちゃ混ぜ感にまったく引けをとらないほどの禁忌の数々。ここまでくると感覚が麻痺しているのかそれとも私が引きずり込まれてしまったのか、最後近くでふたりが結ばれるときのなんだかものすごいシチュエーションにも、「よかったね」と祝福の気持ちが湧いていました。

 それぞれが狂気を抱えた人たちでも、本人達がこれでいいと思い幸せになってくれる物語を読むとなぜか勇気をもらえます(かなり個人的な感想です)。現実からはかけ離れたファンタジーとはいえ、周囲に理解されない幸せの形もあると示してもらえるって、すごく夢があると思うのです。


<オススメ要素>

・ダークでディープなBL童話。


 地雷注意:兄弟、死体愛好の父、エルフ×クロウ(本番はなし)、など。


<関連作品>

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