<登場人物>
(攻)藤澤和章(ふじさわ かずあき)…プロダクトデザイナー。現在は休業中。28歳。
(受)石蕗柊(つわぶき しゅう)…植物園のアルバイト。21歳。
石蕗次郎(つわぶき じろう)…柊の祖父。和章の恩師。
<あらすじ>
山の中の植物園で働きながら、祖父と二人暮らしをしている柊。そこへ、祖父のかつての教え子だった和章が訪ねてきます。
淡々とした態度の和章にはじめは反発を覚えた柊でしたが、次第に和章の中に優しさを感じるようになっていきます。
<感想>
『ふったらどしゃぶり When it rains,it pours』に登場していた和章のお話です。前作では整とうまくいかずに、どこかかわいそうな印象を残していた和章。今作ではそれから約1年くらいが経った頃だと思われます。
冒頭の和章は想像以上に人間味が薄いお方で、野性味の強い柊と話しているとその淡々とした感じがより際立って見えます。そんな和章の中にも優しさを見出していく柊、和章が「おもしろい」と感じるのも頷けます。
和章、柊、石蕗先生は3人それぞれ傷を抱えていて、だからこそ深入りしないながらもどこかで分かり合っている感じがよかったです。誤解や疑いをかけられるという過去はかなりつらいものがありましたが、たったひとりでもふたりでも、信じてくれる人がいるのはとても大きいことだと思います。和章の言葉が先生に届いていることを願って止みません。
それから終盤で「いつでも当たり前みたいにいてほしい」と、怖がりつつも口にした和章。この発言にやはりヤンデレはそう簡単には変わらないと私は嬉しくなってしまったんですが、これを柊がプラスに受け止めているのがすごい。強いです柊、頼もしい。このふたりならきっと大丈夫だと、和章の救済を確信できた場面でした。それにしてもはっきり柊に気持ちが向いてからの和章が意外なほどに甘く、このギャップにはまんまとやられてしまいました。
傷を持った人たちが静かに一歩を踏み出す姿に希望を感じたお話でした。竹美家先生のあとがきに少し書かれていた、和章やさぐれツンデレ受な展開を妄想していた私にとっては良い意味で裏切られ、より記憶に刻まれた作品となりました。
<オススメ要素>
・和章救済のお話。
<関連作品>
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・シリーズ
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