ラブ キス2 一穂ミチ(著)/yoco(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)雑賀明渡(さいが あきと)…長野の大きな地ビール会社「雑賀ビール」の息子。
(受)蛇抜苑(じゃぬけ その)…マッサージ師。マンションで一人暮らし。
<あらすじ>
明渡とは週に数回食事を共にするくらいの距離を続けている苑。再会してから1年が経っても、ふたりの距離は変わらないままです。
そんなときに、苑のマンションの部屋が水漏れにより住めなくなり、緊急避難として苑は明渡の部屋に身を寄せることになります。
<感想>
シリーズ2作目です。同人誌の『moment』にこの1作目と2作目の間頃のお話があり、城戸さんが明渡と苑を目撃したときの様子が描かれています。
続篇の発売を知ってから楽しみに待っていたのですが、いざ本を開くとなると前作の衝撃を思い出してしまいなかなか読み出せずにいました。そこへかなりの私事になりますが、人生初のぎっくり腰をやってしまいまして。そういえば苑はマッサージ師さんだったな……と思い出し、どうにか読むきっかけを作ることができました。
再会してからは、明渡の方から苑のところにご飯を食べにくることはあるものの、それ以上は発展しないままの関係を続けているふたり。それぞれの視点から語られる心境は複雑で、気持ちは互いに向いているのに踏み出せずにいるようです。
そこへ苑のマンショントラブルから緊急同棲、しかし近所の少年の姿が苑のトラウマを抉ります。この少年・実留くんの置かれた状況が本当につらかったです。私は苑ほど悲惨な幼少期を過ごしてはいませんが、自分の黒歴史を髣髴とさせる子供を見捨てたいわけじゃないけど見ていられない、という心理には非常に共感できました。それでも手を差しのべた苑……偉い。そして明渡はやっぱりすごい。
最終的には救いがあるとはいえ、実留くんが駅で何度も振り返るシーンには号泣しました。yoco先生のイラストでの実留くんがかわいいのがまた余計に涙を誘います。
明渡の方もトラブルを呼び込みやすい体質なのか、後半はかなりヒヤヒヤしました。さすがにもう苑がかわいそうなので、蛇の神さまにはぜひふたりを守っていただきたいと思います。
改めて過去や互いの気持ちに向き合う姿が丁寧に綴られ、どちらも成長し希望の見えるラストを迎えられたことにとても安堵しました。読めてよかったです。
<オススメ要素>
・シリーズ2作目。
・明渡と苑の1年後。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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・シリーズ
(感想記事はこちらです)
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