<登場人物>
(攻)レリウス・ウェル・ゴートン・サージェント…吸血鬼。帝国軍の法務将校。
(受)アンバー…土竜。成体になったばかり。
<あらすじ>
ドラゴンギルドの飼育小屋で育ち成体になったばかりのアンバーは、自身の体と環境の変化に戸惑い任務も失敗ばかりです。幼生体だった頃から慕ってきたレリウスともあまり会えなくなり消沈していましたが、帝国の要人連続殺人事件が起こりアンバーはレリウスの警固を任されることに。吸血鬼でありながら正体を隠し、帝国軍で法務将校をしているレリウスの過去を知ったアンバーは、徐々に竜の本能が覚醒しレリウスを自分だけのものにしたいと思うようになり……。
<感想>
ドラゴンギルドシリーズ7冊目です。これまでのシリーズでは、恋をすると本能で相手を支配・所有しようとする竜が攻固定だったんですが、7作目にしてついに竜受の登場です。
レリウスとアンバーは冒頭からすでに互いを慕っているものの、アンバーはまだ成体になったばかりで恋すら知らない状態です。それでも、レリウスからはがっちりロックオンされているのがひしひしと伝わってきます。
アンバーは土竜なのでもしかしたら大成長を遂げるのかも、という可能性が私の中で捨てきれず、終盤で攻受がはっきりするまではずっとどっちなんだろうとドキドキしていました。
結果、かわいいアンバーはかわいいままでいてくれました。最初は恋心もわからなかったアンバーが少しずつ執着を自覚し、レリウスを煽るほどになる過程はたまらなかったです。前作までは執着攻見たさにシリーズを追っていましたが、ここにきて執着受もいいものだなとしみじみ感じました。
吸血鬼のレリウスが愛するアンバーの血を飲めない(竜の血は猛毒)ことにはちょっと切なさを感じましたが、「土竜の血を飲んで逝くのは、ヴァンパイアである俺だけに許された極上の死だ」という表現には心底痺れました。こちらのシリーズで出てくる竜や魔物たちの細かい設定、そのどれもがいい方向に作用している気がします。
物語の中で起きていた要人連続殺人事件については、これいい所で終わっちゃったらどうしようと不安になるくらい混迷を極めるんですが、本作中で一応は解決となります。しかし根本的な問題はまだ残っている様子。シリーズのさらなる発展を期待しつつ、続刊を楽しみに待つことにします。
<オススメ要素>
・帝国軍の吸血鬼×成体になったばかりの竜。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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