イエスかノーか半分か　一穂ミチ（著）/竹美家らら（イラスト）　【小説感想】

＜登場人物＞

　（攻）都築潮（つづき　うしお）…アニメーション作家。２７歳

　（受）国江田計（くにえだ　けい）…人気アナウンサー。二重人格。２７歳。


　皆川竜起（みながわ　たつき）…アナウンサー。計の後輩。


＜あらすじ＞

　国江田計は、完璧な仕事と外面で人気の若手アナウンサー。取材で知り合ったアニメーション作家の潮と仕事以外の場で遭遇してしまい、裏の顔を知られてしまいます。
　あまりの落差に計だとは気づかない潮。しかし計のせいで怪我をした潮のため、計は正体を隠したまま潮の家に通うことになります。


＜感想＞

　シリーズ１作目です。初めて読んだのは雑誌に掲載されていた頃で、あまりのインパクトに文庫になったときもほぼ内容を覚えておりました。

　若手人気アナウンサーの国江田さん。二重人格とはいってもいわゆるホンモノではなく、王子様のような完璧な外面に対し心の中では罵詈雑言の嵐が吹き荒れているというとてもコミカルなお人です。ただ、この計の心の言葉遣いが本当にえげつないところがあるため、地雷となってしまう方もいるかもしれません。

　計のように極端ではないにしろ、外と内では態度を変えることってよくあることのような気がします。そう考えれば誰しも共感する部分があるかもしれません。私の場合は、強烈な言葉をつかってくる計の心の声にまるで自分の中のわだかまりを代弁してもらったような爽快感さえ覚えました。いや、実際には思ったことないですよ、相手を「愚民」だなんて（必死）。

　それでも、偶然から潮にだけは裏の顔を知られてしまった計。普段の完璧な姿との落差がひどいほど、それを知って受け入れてくれる唯一の人がいることに非常に萌えました。

　後半の描き下ろし「両方フォーユー」では、計の後輩アナウンサー・竜起の登場です。この時点では清々しいほどの当て馬役の竜起。竜起にも計の裏の顔を知られてしまって、それでも潮を選ぶことにさらなる萌をいただきました。

　鼻濁音のことはこの作品で初めて知りました。以来、ニュースを見たりドラマＣＤを聞くときに意識が向くようになり、なるほどこれが……とひとり心の中で頷いています。


＜オススメ要素＞

・シリーズ１作目。
・お仕事描写もほどよく具体的。


＜関連作品＞

・電子書籍

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・シリーズ
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・ＣＤ