明日、起きたら君は /早寝電灯 【漫画感想】
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3つのお話が収録された短編集です。ひとつの大学を通して、それぞれの登場人物たちがちょっとずつつながっています。
『明日、起きたら君は』(表題作)
<登場人物>
(攻)健斗(けんと)…会社員。大学の後輩。
(受)和田広典(わだ ひろのり)…会社員。大学の先輩。
<あらすじ>
学生の頃から付き合い始め、同棲を始めて3ヶ月の健斗と広典。出勤前のいつも通りの朝、突然健斗が「睡眠姦していい?」と聞いてきます。動揺のあまり仕事中も「睡眠姦」が頭から離れない広典ですが……。
<感想>
優しげな雰囲気の表紙と帯の「睡眠姦」との主張にどんなお話なのかさっぱり想像がつかなかったのですが。そこはこれまでの早寝電灯先生らしさを裏切らない、雰囲気のあるとてもいいお話でした。衝撃的なワードから想像させるものとはまた違った方向で、「睡眠姦」が優しく消化されていく感じがたまらなく好きになりました。
物語開始の時点で、すでに恋人同士、同棲して3ヶ月の健斗と広典。突然飛び出した「今度体調良さそうな時狙って睡眠姦していい?」発言。そりゃ動揺もします。
しかしそれからの広典は健斗の言葉が頭から離れず、動揺しつつもサプリを飲んだりして体調を整えているのがなんだかかわいいです。そして出会いや告白、これまでのふたりの歩みが広典の回想を通して少しずつ明らかになります。
健斗の爆弾発言にも、年下なりの理由が会った様子。恋人同士が不安なのはお互い様、そんな彼らが絆を強くしていく過程の一場面を切り取って見せてもらったような気分です。
描き下ろしはこちらの表題作のふたりでした。まさかのセッ○ス探求に乗り出した健斗。けっこうすごいプレイだと思うんですが、穏やかさすら感じられるいい絡みでした。どちらも照れているからでしょうか、とてもかわいかったです。
『for you, and for me』
<登場人物>
一誠(いっせい)…カフェの店員。
全利(まさとし)…大学助手。眼鏡。
<あらすじ>
自分の店の前を足早に通り過ぎていく大学助手・全利が気になっていた一誠。秋の終わりになって来店した全利と話をするようになり、全利が一誠の店に通うようになってから年を越し、夏がこようとしていました。
<感想>
一誠のカフェには表題作の攻・健斗が通っているようで、こちらのお話では健斗がまだ学生でした。このころの健斗はまだ広典へ片想い中だったようで、一誠には事情を話していたみたいです。
その一方でこちらの主役のふたりは仲の良いカフェ店員とお客さんの距離のまま、季節は巡っていきます。はっきりとした進展がない中でも、一誠の全利への想いが時の流れとともにとても美しく語られていて惹きつけられました。「足元には知識が転がっています」のコマがもう本当に素敵で目に焼きついています。
ふたりの気持ちは健斗を巻き込んだ勘違いから一気に明るみに出ます。このとき現場に居合わせた健斗の隣には広典がいることから、改めて時間が経っていることが感じられました。心に染み渡るような、静かな感動をくれたお話でした。
『やがて土より咲く』
<登場人物>
喜田巧(きだ たくみ)…大学の臨時講師。専門は考古学。
明野寛治(あけの かんじ)…会社員。一軒家に一人暮らし。
<あらすじ>
一軒家に一人で暮らしている明野のもとへ、ある日家の庭を発掘調査させてほしいと連絡が入ります。
一度は断ったものの、直接訪ねてきた喜田はその後もストーカーのごとく説得に訪れます。しかし、明野には庭を掘り返したくない理由があるようで……。
<感想>
家の庭を掘る明野の姿から始まり、もしや仄暗いお話?とちょっとドキドキしました。ですが明野の家を訪れた喜田はとても明るくていい人そうだし、どこか影を感じさせる明野もそんなに暗そうには見えません。
実は初対面ではなかったふたり。明野が庭に埋めてしまった過去について、物理的にも精神的にも喜田が寄り添ってくれようとする展開は巧いなあと唸ってしまいました。ラストはしんみりした気持ちになりましたが、いいもの読ませてもらったという感動が大きかったです。
<オススメ要素>
・愛の深いほんわか系睡眠姦。
※紙本の帯に全サ情報がありました。
<応募者全員サービス>
『描き下ろし小冊子「erotica」』
対象コミックスのオビについている応募券2枚を、GUSH4月号、5月号、6月号いずれかの応募用紙に貼る、+郵便振替で1300円で応募できます。
応募締切 2019年6月28日(金)消印有効
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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