『片想いをこじらせています。』(表題作)
<登場人物>
(攻)滝沢龍司(たきざわ りゅうじ)…ミステリー小説ベストセラー作家。女癖が悪い。
(受)河原蓮(かわはら れん)…風間出版社の編集。滝沢に15年片想い中。35歳。
<あらすじ>
ベストセラー作家の滝沢の担当編集を勤める蓮は、実は大学時代からの親友である滝沢に15年もの間片想いを続けています。既婚者の滝沢を相手に完全に片想いをこじらせている蓮でしたが、滝沢に3度目の離婚を報告され流されるまま不健全な関係を再開させてしまいます。
<感想>
清々しいほどのこじらせ具合でした。小説家の滝沢は何もかもが完璧なのに、唯一女癖だけは悪く結婚は3回、そして今回で3度目の離婚報告となります。滝沢が既婚者でないときにだけ関係を持ってきた蓮は、表面上は嫌がりつつも内心は求められることに嬉しさも感じていたりして、悩んだり喜んだり忙しい日々を送っていました。
そんな滝沢が今度は本気で蓮に迫ってくるのでさあ大変です。15年の時を経て片想いのプロと化してしまった蓮は素直に受け入れることができず、仕事まで天秤にかけてきた滝沢のことも立派に突っぱねてみせます(身体の方は流されてますが)。
でもその度にひとりで後悔する姿がおかしくて、見ている方は笑いが止まらなかったです。蓮が抱く疑念がもっとも過ぎて、もしめでたくくっついたとしてもこの先大丈夫なのかしらと途中不安にもなりました。ですが、後半で滝沢の結婚の理由もほんのりわかってくると、あ、これ絶対大丈夫なやつだとかなりの説得力がありました。そして描き下ろしのバカップル爆誕へと続きます。
実は『隣のフェティシズム』のスピンオフ作品だったことは先生のカバー下あとがきで知りました。慌てて確認したところ、友人枠の彼は古田さんの編集さん……で合っていますでしょうか?(違っていたら鼻で笑ってやってください)
『ラノベ作家の愛と本懐』
<登場人物>
殿村ノブ(とのむら のぶ)…売れっ子ラノベ作家。
野々原椿(ののはら つばき)…風間出版文庫編集部の編集長。40歳。眼鏡。
<あらすじ>
編集としてこつこつ18年まじめに勤め編集長になった野々原は、忙しくも充実した毎日を送っています。ただひとつ問題なのは、売れっ子ラノベ作家の殿村のこと。脱稿のたび告白してくる殿村を、野々原はなんとか受け流しています。
<感想>
こちらもとてもおもしろかったです。真正面から野々原に迫っているのかと思いきや、ちょっと闇の深そうな一面ものぞかせてくる殿村。しかし童貞であるのは確からしく基本はかわいい人でした。
カバー下によりますと本当は連載の予定だったらしく、一応一区切りついてはいますがまだまだ先の展開も気になるふたりでした。
<オススメ>
・離婚が3度目のベストセラー作家×片想いのプロ。
<関連作品>
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