春売り花嫁といつかの魔法 高月紅葉(著)/白崎小夜(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)能見義孝(のうみ よしたか)…遠野組の用心棒。元は格闘家だった。

 (受)樺山祐希(かばやま ゆうき)…ユウキ。元は男娼だったが、資産家に身請けされた。27歳。


 樺山大悟(かばやま だいご)…ユウキを身請けし、養子にした資産家。


<あらすじ>

 ユウキが男娼を引退して1年。能見と結婚式を挙げて周囲からも公認の仲となったものの、別居婚であるふたりはなかなかふたりきりになれません。養父の樺山と能見の間にも微妙な緊張感が漂っています。
 そんなとき、樺山が能見に「駆け落ちした知人の御曹司を連れ戻してほしい」と依頼してきます。能見がどうやって都合をつけようかと考えていたとき、遠野組から御曹司の駆け落ち相手である女の方を探すよう命令が下ります。


<感想>

 『仁義なき嫁』シリーズのスピンオフ『春売り花嫁とやさしい涙』の続編です。前作で能見さんとユウキが結婚式をしてから約1年後、本シリーズの時系列では第2部「銀蝶編」の翌年(周平と佐和紀が結婚して3年)のお話だそうです。

 表紙のユウキが大人っぽくなっていて感慨深いです。作中でもユウキが能見さんをナチュラルに名前呼びするたび、私は萌え滾っていました。

 前作では持ち前の能天気さでユウキを口説き落とした能見さん。今回はそんな明るく元気な彼が苦悩する番でした。

 組の用心棒として便利屋のようなことをしたり道場を任されたりしていても、能見さんはまだヤクザではありません。片足突っ込んでる程度です。そんな状態でいることに迷ったり、限界を感じ始めた能見さん。白黒つけなければと焦る能見さんを優しく諭すユウキが大人でした。男娼としてそちらの世界を長く見てきた彼にしかできなかったことだと思います。

 あとは、やっぱり出てきたユウキの過去の男。前作の堺とはまた雰囲気の異なる人物ですが、この天真がとっても怖い人でした。見た目はいい人そうというか、純粋そうなのがさらに恐怖を煽ります。

 そして追い回される駆け落ちカップルの不運さが妙にリアルでした。特に楓果。彼女が彼に残した手紙がもう本当にやりきれないです。最初にこの本を読んでから数ヶ月経ちますが、今でもふとこの手紙のことを思い出すことがあります。

 起こる事件や新たに明らかになるユウキの過去は変わらず重いですが、能見さんとユウキの関係はブレないので、いい夫婦っぷりは見ていて微笑ましいです。現役ファイター時代のファンだったという人物も登場し、能見さんの過去もちらりと垣間見れます。そんな本当はすごい人な能見さんの嫉妬が向かうのが、周平ではなく岡村だというのも面白くて気に入っています。


<関連作品>

・電子書籍

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・前作 (感想記事→春売り花嫁とやさしい涙 高月紅葉(著)/白崎小夜(イラスト) 【小説感想】





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