獣人王の側近が元サヤ婚を願いまして 稲月しん(著)/柳ゆと(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)ガスタ・レスター…デルバイアの将軍。虎の獣人。35歳。

 (受)ライン…シャウゼの商人。ロイの叔父。35歳。


 ゼクシリア…デルバイア国王。狼の獣人。30歳。

 ロイ…ゼクシリアの番で王妃。子供の頃はラインに預けられていた。


<あらすじ>

 デルバイア王の結婚式へ向けて、王妃ロイの叔父を連れてくるよう頼まれた将軍ガスタ。ロイの育ての親ともいえる叔父のラインは、ガスタのかつての恋人。ラインに未練のあるガスタは久しぶりの再会に理性が飛び、気づけば虎の姿になっていた上に話すことも人に戻ることもできなくなってしまいます。


<感想>

獣人王のお手つきが身ごもりまして』のスピンオフ作品で、ゼクシリアの側近の将軍ガスタと、ロイの叔父ラインが主役です。前作の盛り上がりの裏で実は劇的な再会を果たしていたガスタとライン、今回はそれから約半年後のお話でした。獣人にとっての運命の相手が「番」と呼ばれていますが、オメガバースではありません。

 ゼクシリアとロイの結婚式が迫り、ラインを迎えにいった先で虎になりなぜか人に戻れなくなってしまったガスタ。獣人とはいえ言葉も話せないガスタはもはやただの虎。そんな元カレを連れて渋々デルバイアへ向かうラインに同情しながらも、冷静に考えるとこれってすごい絵面で、思い浮かべる度に爆笑してしまいました。

 国に英雄譚まである将軍が元恋人の前ではデレデレの虎になるギャップと、素直になれない大人のツンデレ……ガスタとラインが織りなすやりとりは本人たちが真剣なほどに見ている側は楽しかったです。ふたりにはそう簡単にはよりを戻せない過去があるものの、いろいろ振り切れたガスタが押し切ってくれて本当によかったです。

 しかもガスタの口説き方がすごく獣人らしくて良いのです。心が欠けてしまったラインをそのまま愛そうとするおおらかさについて、少女の像のおかげでとてもわかりやすく表現されていました。

 前作を未読でも楽しめる内容だとは思いますが、こちらを読むことでラインのロイへの感情も読み取れて両方の深みが増した気がします。ゼクシリアとロイも幸せそうで何よりでした。


<オススメ要素>

・虎になった元カレとの珍道中。


<関連作品>

・シリーズ
(感想記事はこちらです


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