5Seconds /さちも 【漫画感想】

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 さちも先生のオリジナルBL初コミックスです。短編が5つ収録されています。



『5Seconds』(表題作)

<登場人物>

 (攻)寺田司(てらだ つかさ)…高校生。隼人の幼馴染。

 (受)柊隼人(ひいらぎ はやと)…高校生。相手の目を5秒見つめると、性感をコピーできる。


<あらすじ>

 5秒見つめ合った相手の性感をコピーできる能力を持つ隼人。普段は周囲の友人たちをこっそりコピーして楽しんでいましたが、間違えて女子や雌猫をコピーしてしまい大変なことに。隠し切れずに幼馴染の司にバレてしまい……。


<感想>

 無限の可能性を秘めた能力を持つ隼人。事故的に発情期の雌猫をコピーしてしまい、幼馴染の司に助けを求めたのをきっかけに隼人と司は身体の関係を持ちます。

 隼人は自身の能力について重く受け止めていたようですが、打ち明けられた司は意外とあっけらかんとしたもので、ふたりのバランスの良さがうかがえます。

 最後の描き下ろしもこちらのふたりで、能力の副産物で自力では抜けないという隼人が司に協力してもらっていました。普段は無表情に見える司がツンデレ隼人に翻弄され、微妙に表情を動かしているのが見ていて楽しかったです。



『愛の生えかた』

<登場人物>

 (攻)橘雄一郎(たちばな ゆういちろう)…ユウ。双子の弟。女装してゲイバーで働いている。

 (受)橘圭一郎(たちばな けいいちろう)…ケイ。双子の兄。


<あらすじ>

 無理矢理連れて行かれたゲイバーで、圭一郎は家を出ていた双子の弟・雄一郎と再会します。女装している雄一郎に困惑を隠せないものの、圭一郎は雄一郎との共同生活を始めます。


<感想>

 一卵性の双子のため顔も体格もよく似ているケイとユウ。「オネエ攻」のテーマで描かれた作品とのことで、双子弟のユウの女装がよく似合っています。途中ふたりが18歳のときの回想が入るんですが、そこでのユウはふざけ半分でセーラー服を着ています。

 高校生の頃に一線を越えそうになり、それ以来距離ができていたケイとユウ。けれど偶然の再会を果たしてしまえば、やはり同じになりたいという想いを止められなかったようです。ずっと女装していたユウが最後にウィッグを外した姿がかっこよくて惚れました。



『too』

<登場人物>

 (攻)工藤匠(くどう たくみ)…大学生。主人公の部屋に隠しカメラを仕込み、いつも主人公と同じ服を着ている。イケメン。

 (受)「俺」…名無し。大学生。工藤にストーカーされている。


<あらすじ>

 大学生の「俺」は、服を選んでいる時に話しかけてきた店員にはっきり文句を言ってしまうようなひねくれ者です。そんな「俺」の部屋にバレバレの隠しカメラを仕込み、毎日「俺」と同じ服を着て大学にやってくる工藤。実害はないので放っておいたものの、ある日突然工藤が服装を変えはじめます。


<感想>

 「ストーカー」のテーマ通り、ひねくれ者の主人公は部屋にカメラを仕込まれ、工藤は毎日寸分違わず主人公と同じ服を着て大学にやってきます。

 大学で特に接点があるわけでもない工藤と主人公。ある日を境に工藤が主人公の服装を真似ることをやめるのですが、主人公はそれが気になって仕方ありません。そもそも工藤が同じ服を着るのをやめたと主人公が気づいたということは……、最後には意外な展開が待っていました。

 それにしても、カメラがあるのをわかっていて「ゆっくり着替えてやる」という、ストーカーに対しての謎の思いやりがツボに入りました。その発想はすごいです。



『イタイノイタイノ』

<登場人物>

 (攻)山田玲(やまだ れい)…レイ。高校生。自称「普通」。

 (攻)(受)鈴木忍(すずき しのぶ)…ノブ。高校生。サッカー部。チャラ男。

 (受)遠藤拓真(えんどう たくま)…タク。高校生。野球部。熱血系。


<あらすじ>

 幼馴染のレイ、タク、ノブ。3人はいつも一緒にいますが、タクとノブはレイを取り合っていつも殴り合いの喧嘩をしています。
 そんなタクとノブが喧嘩でつくった傷をいつも目で追っているレイ。さらに、タクとノブが本当はふたりだけで関係を持っていることにレイは気づいています。


<感想>

 ドSとドMは紙一重、というのが前面に押し出されている印象の作品でした。そういえば以前、態度はドSなのにドMを自称している知人が「自分が責めている相手の気持ちを想像して自分に置き換えている」と言っていたのを思い出しました。

 おそらく登場人物3人ともドMで、痛いことや苦しいことで興奮する様子。攻受は変則的で、見た目だけだと最初は全員逆かと思っていました。ですがリバの可能性も十分にありそうな雰囲気です。個人的には一番男らしい風貌のタクの受姿が見られたのは嬉しかったです。



『無修正のお日様』

<登場人物>

 (攻)月本秋(つきもと あき)…カメラマン。

 (受)旭(あさひ)…売れっ子ゲイビ男優・橘太陽。元は俳優志望だった。


<あらすじ>

 元は俳優志望だった旭は、現在はゲイビ男優タレントとしてテレビにも出演しています。そんな旭との約束を守るため、カメラマンとして旭を撮り続ける秋。しかし撮影の相手が気に入らないと仕事を放り出した旭と口論になり、秋は撮影現場で旭を押し倒します。


<感想>

 一番インパクトが強かったのがこちらのお話でした。テーマは「攻め喰い」だそうです。

 一応ハッピーエンドだとは思うのですが、途中の旭の夢破れた感が心に刺さります。しかも秋は映画製作会社を蹴ってまで旭に付いてきた、というのがまた悲壮感を煽ります。

 怒った秋が旭を無理矢理、な展開ではありましたが、旭もただやられるだけではなかったのは流石でした。その後苦労もあったようですが、ふたりが約束した夢が叶っていたのがとてもよかったです。


<オススメ要素>

・アブノーマルなテーマ別の濃い短編集。


 地雷注意:兄弟(双子)、無理矢理、暴力、など。



<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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