うるさいくらいの告白ください /さちも 【漫画感想】

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 電子書籍で配信中の『うるさいくらいの告白ください』と『性春キネマ』の2作品が紙書籍になったものです。描き下ろしで『うるさいくらいの告白ください3.5話』と『あとがき』が最後に収録されていました。



『うるさいくらいの告白ください』(表題作)

<登場人物>

 森(もり)…高校3年生。一匹狼で周囲に怖がられている。

 林田(はやしだ)…高校生。人の心の声が聞こえる。


<あらすじ>

 人の心の声が聞こえる能力を持つ林田は、心の声が聞こえない「運命の人」にめぐり合えるのを夢見て日々を過ごしています。
 林田はある日、怖い人だと噂の流れている先輩・森の「おっぱい触りてぇ…」という心の声が聞こえます。行く先々で同じことを考えている森が悪い人ではないと察した林田は、森のことが気になりはじめます。


<感想>

 主人公が特殊能力持ち、ということでさちも先生の『5Seconds』を思い出しました。あちらはハードなものが多い印象でしたが、こちらは高校生同士の恋愛のピュアさが前面に出ているかな、と感じました。

 人の心の声が聞こえる林田は、その能力をコントロールすることができず、常に声が聞こえている状態です。ですが能力に奢らず、困っている人を見つければ助け、カンニングもしないとてもいい子です。

 そんな林田も学校で見かければ思わず距離を取ってしまうのが、森先輩。いい噂を聞かない森先輩ですが、林田が偶然近くを通ったときに聞こえてきたのは、『おっぱい触りてぇ…』というなんともかわいい心の声。林田は人を噂で判断してはいけないと思いなおします。

 能力持ちの人々は、皆自分の力が通用しない「運命の人」に出会えることを夢見るようです。林田も日々運命の人との出会いを期待していますが、そううまくはいかず……となっていたところで、あっさりその人物が見つかります。しかも同じ高校の先輩・小木でした。

 林田にとっての運命の人に認定された小木ですが、焦った林田はここで痛い目を見ることになります。純粋な高校生ならではの悲しい展開を迎えてしまいますが、その後距離が近づいた森先輩の正直な性格のおかげで、林田にとっての「運命の人」に対する考え方が変化していきます。

 ふたりは描き下ろしを含めて受攻がはっきりするところまでの進展はありませんでした。けれど、最後に向き合って触りあうふたりの表情が爽やかにエロくて大満足です。望まない能力故に苦労の多かった高校生が考え方を変えたことで運命の人に出会い、鮮やかに景色が変わっていくのがキラキラ眩しかったです。



『性春キネマ』

<登場人物>

 (攻)山本(やまもと)…高校生。帰宅部のオタク。いつもひとり。

 (受)藤堂(とうどう)…高校生。クラスのムードメーカー。


<あらすじ>

 クラスのちょっと調子のいいムードメーカーである藤堂。教室でいつもぼっちの山本とは、ほとんど会話をしたことがありません。
 体に誰にも知られたくない秘密を持つ藤堂は、普段から絶対にツレションをせず、修学旅行での同級生たちとの風呂もどうにか回避します。ところが、部屋風呂を満喫中に突然山本が現れ、藤堂は秘密を知られてしまいます。


<感想>

 表題作と同じ高校生ものですが、また違った雰囲気で楽しめました。藤堂の秘密の一部が大変お可愛らしいカクレクマノミで表現されていて、しかも場面に応じてその表情が変化しているのがおもしろく、何度も笑ってしまいました。クマノミを見るたびに思い出してしまいそうです。

 そんな楽しい雰囲気ではじまるお話ですが、お調子者キャラの藤堂と根暗な山本の距離が近づくにつれ、次第に雲行きが怪しくなってきます。ラストについては人によって感想がわかれそうな幕引きでした。

 山本の気持ちがどこからはじまっていて、どこまでが確信犯だったのかは私にははっきりとはわかりませんでしたが、こういう攻は大好きです。お話の中で何かといい働きをしてくれていた不良君のこともとても気になっています。



<オススメ要素>

・能力持ち高校生のピュア恋愛。(『うるさいくらいの告白ください』)
・どちらも体に秘密のある、根暗オタク×ムードメーカー。(『性春キネマ』)



<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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