<登場人物>
(攻)高里志乃也(たかさと しのや)…シノ。大学1年。政経。(受)鹿角雪次(かづの ゆきじ)…ユキ。大学1年。生物学科。苦学生。
<あらすじ>
十年来の腐れ縁の高里と鹿角は、互いの母親の提案で大学進学と同時に同居することに。高里が同じ大学だとすら知らなかった鹿角ですが、高里は今までのような距離のある関係をやめたいと言い出します。<感想>
全部が良かったお話って、何から感想を書けばいいのかわからなくなります。なんかすっごくいいもの読んだんだけど、何がどう良かったか説明できない……途方に暮れている状態なので、以下私自身よくわからないながらもとにかく素敵な話だったことを伝えたい感想文です。おそらくかなり育ちの良いシノに対し、ユキは幼いころから自分の置かれた環境について理解し、ひとりでいろんなものを背負ってきたのではないでしょうか。そうやって周囲と距離を置いて育つ中で悲しい事件に巻き込まれ、それも当たり前に一人で抱え込んでしまったのではないかと。
酷な現実を高校生が一人きりで受け入れるには、「考えないようにする」のがきっと最善だったのだと思います。でもそのために頼りにしたのが、子供のシノの涙。なかったことにしたい事実と大切な思い出がセットになってしまったのもあって、ユキがその後のシノへの気持ちに向き合うのがより困難になったのかもしれないと感じました。
絡まり合って整理のつかないままだった心に向き合うのって、きっとすごく大変なことのはず。一人で折り合いをつけてきたユキも、孤独に戦うユキに踏み込んでいったシノも、こちらには想像もできないくらい頑張ってきたんだと思います。ふたり結ばれて一息つき、完全に油断していたところでのラストの涙には胸を打たれました。
ふたりの大学の学生さんたちも背景が気になる人が多かったです。溝口くんと四ツ谷さんはもちろん、恋人の存在より目の前のカマキリが重要な眼鏡の川辺くん。シノもユキも彼らと楽しい夏休みを過ごしたと思われますし、皆様の青春の1ページをもっと覗いてみたくなりました。
<オススメ>
・一途な拗らせ幼馴染×ヒーローでいたい苦学生。<関連作品>
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