独特な考え方をするキャラクターってたまにいると思います。その思考回路が詳細に語られるとき、いつの間にかこちらまでそれがすべて正しいことのように感じていることがあるんです。どんなに現実離れしていても、彼らはそれが当然のように振る舞ってくるので、なんだかそれでいいような気がしてくるのです……。読み手の捉え方にもよるとは思いますが、私が惹きこまれ過ぎて危うい感覚を経験した作品を集めてみました。
・『猫、22歳』(皿の上の明くる日) /柳沢ゆきお
ゲイだとバレたことが原因で教師をクビになった創。正体を知らずに声をかけた相手は殺人犯の晴海でした。晴海の静かな語り口にひたすらに翻弄される感覚は、言葉ではとても説明できません……。
・『ひみつのセフレちゃん~もっと!恋人編~』 /ヤマヲミ
ヤマヲミ リブレ出版 2013-09-02
シリーズ3作目にして起きた事件……コースケさんご懐妊疑惑です。お腹が出てきたコースケさん(38)を見て、満面の笑みで妊婦扱いしてくるトモ。トモが言うと本当にコースケさんが妊娠できそうな気がしてくるのが恐ろしいです。
・『ネガ』(ピアスホール) /はらだ
丁寧な言葉で語られる攻の心情が状況を大変具体的に伝えてくるため、ピアスをあけられるときとあけるとき両方の感覚までが浸透してくるようです。体中ゾワゾワしました……。
・『旭光に抱かれて眠れ』 水原とほる(著)/兼守美行(イラスト) (感想記事はこちらです)
日本には「存在しないことになっている」陸自の特殊任務隊。所属する秋元の考え方はまさに軍人、読みやすいのにそれがはっきりと現れている文章に思想をもっていかれそうになりました。
・『匣男』 剛しいら(著)/吉村正(イラスト) (感想記事はこちらです)
「狭いところにいると落ち着く」という風宮の性癖。ファンタジーでもなんでもないはずなのに、奇妙な読後感が癖になります。「寓話」という言葉がぴったりはまるお話でした。
・『花とナイフ』 犬飼のの(著)/國沢智(イラスト)
プロの殺し屋×フリーの殺し屋というなんとも物騒な組み合わせです。しかも受の麻人は、腕のいい花屋だったりします。花を持つのと同じ手で殺しもする麻人の思考はどこまでも独特です。
・『監禁生活十日目』 水原とほる(著)/砂河深紅(イラスト) (感想記事はこちらです)
サイコパスに囲まれ監禁された実洋。読んでいる間は何度も、実洋と私はまだ正気かしらと自問を繰り返してしまいました。「サイコパスって感染するの」というセリフが衝撃で、いまだに忘れられません。
抜け出せなくなるくらい頭の中をかき回される話を読んでみたい、と思うことが昔はあったんですが、最近はそういう作品への恐れのほうが勝つようになってしまいました。年々ヘタレがひどくなってきています……。
ご覧いただきありがとうございました!
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