<登場人物>
(攻)如月雪也(きさらぎ ゆきや)…本名白松龍一。映の探偵助手。実家はヤクザだが、家業は継いでいない。
(受)夏川映(なつかわ あきら)…探偵事務所所長。和装。珍妙な人やものを引き寄せる超トラブル体質。
夏川拓也(なつかわ たくや)…映の兄。雪也の大学時代からの友人。34歳。
<あらすじ>
拓也の子どもを抱いている女性が映の実家を訪れたと聞き、映は渋々実家に帰ることに。当の拓也には何の覚えもないにもかかわらず、女性は赤ちゃんを夏川家に預けたまま姿を消してしまいます。
<感想>
フェロモン探偵シリーズ7冊目です。前作で映のトラウマとの対決を終えシリアスは一段落、今回は映の兄・拓也に隠し子疑惑が浮上してのドタバタコメディな印象です。
とはいっても冒頭から関係性が不明の赤ちゃんが夏川家に置いていかれてしまい、読み終わった後で改めて考えると事件そのものは後味の悪さの残る展開でした。この感じがこちらのシリーズの醍醐味でもあると思うので、ほのぼの子育ての仮面を被りつつもブレないのはさすがだなあと思わず唸りました。
子どもを置いていった女性はそれはもうかなりのお方だったわけですが、彼女の本性が明らかになるにつれ、これって雪也も同類なのでは……?と思えてきます。本人も自覚があったようですが、映が大丈夫だといってくれたのでそこはなんとなく安心できました。
子どもが映にしか懐かないことについては、人によって解釈が違うのがおもしろくて楽しかったです。それにしても、映がまさか赤ちゃんまで魅了してしまうとは。フェロモン探偵の名は伊達ではありませんでした。
映と子どもというこれまでは非現実的だったシチュエーションのせいか、雪也のいつにもまして止まらない妄想にはこちらも笑いを抑えられません。雪也が語ると本当になりそうなところがちょっと怖いです。
今回の事件をきっかけに、それぞれが改めて将来を見つめ直すことになった様子。今後どこまで踏み込んだ展開になるのか、続編への期待が募ります。
<オススメ要素>
・フェロモン探偵シリーズ7冊目。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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・シリーズ
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