言いなり 丸木文華(著)/minato.Bob(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)本川剛(もとかわ つよし)…大学生。もっさりしている。圭一に妙に懐いているので、周囲から犬呼ばわりされている。

 (受)坂井圭一(さかい けいいち)…大学生。遊び人を装っている。


<あらすじ>

 軽いノリを求めて大学のテニスサークルに所属し、見た目に必要以上に気を遣い、遊び人のふりをしている圭一。そんな圭一に初対面のときから妙に懐き、やたらと付きまとってくる剛に圭一はうんざりしています。
 周囲からバカにされ、媚薬を盛られる嫌がらせを受けた後も平然としている剛。しかしサークルの飲み会で圭一を守るために酔いつぶされた夜、剛はご褒美を求めて圭一に迫ってきます。


<感想>

 丸木先生の作品の中でもかなり上位に食い込むくらい好きになったお話です。正直あらすじを読んだだけのときは犬っぽくて野暮ったい攻は苦手だな、と思ったりしたものですが、一度読んでみたら大好きになってしまいました。剛のもっさり感は仮の姿、本性を現したときの鮮やかな形勢逆転は癖になるおもしろさでした。

 受の圭一は大学のいわゆる飲みサークルに所属していて、その場の軽いノリにふさわしい自分を必死に取り繕っているように見えます。それは圭一が過去にいじめにあっていたことがあり、もう支配される側にはなりたくないという思いからのようです。

 大学に入ってから出会い、見返りも求めずに懐いてくる剛を、圭一はパシリにしています。それに乗じて周囲も剛を犬扱いしていますが、剛自身は気にしていない様子。

 それが圭一を守るために酔いつぶされた後、圭一の部屋に運ばれた剛がついに本性を現してきます。ご褒美がほしいと圭一にせまり、そこからはもうなんとも肌色な展開に。

 圭一の過去については沢村と吉住というふたりの同級生が大きく関わってくるのですが、この吉住についてはminato.Bob先生のイラストが出てくるまで本当に気がつきませんでした。圭一と剛が確認しあうのはもう少し後、当たり前のような雰囲気の中でだったので、驚いたのは私だけかもしれません……。

 それから本来の姿(?)に戻った剛と圭一のイラストがあるのですが、これがものすごくよかったです。剛がかっこいいんです。これまでの野暮ったさからのギャップもあって完全に目を奪われてしまいました。圭一の中学時代についてはminato.Bob先生のあとがきにもあり、剛が惚れるのもわかる美少年っぷりでした。

 最初から敵なしのサイコパス攻もいいですが、泥臭い執念を感じさせる剛の執着っぷりもまた良かったです。


<オススメ要素>

・もっさり攻の形勢逆転。


 地雷注意:受にはいじめられていた過去があります。


<関連作品>

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