依存の楔 /akabeko
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<登場人物>
(攻)とし…目覚めると記憶喪失になっていた。
(受)まち…としの世話を焼いている。としとは恋人だったと言っている。
<あらすじ>
ある日、記憶を失った状態で目が覚めたとし。一緒に暮らしているまちはとしとは恋人同士だったといい、ふたりのことを何も覚えていないとしの世話をしています。
甲斐甲斐しいまちのためにも、としは早く思い出そうと焦りますが、次第にまちに対して違和感を感じ始めます。
<感想>
真相はちょっとずつ明らかになっていくんですが、読めば読むほど予想がつかなくなっていきました。どちらか一方が病んでいて、すべてはその病んでいる方の策略なのかと思っていたら、そういうわけでもありませんでした(このあたりは読む人によって印象が違うかもしれません)。
まちからの視点で考えると、最後の描きおろしで救われる気がします。同じことを何度も繰り返してきて、ずっと取り残されたままだったまちにとってはようやく希望が見えたんじゃないでしょうか。読んでいるこちらまで涙が浮かびました。
けれど、その描きおろしのさらに後のakabeko先生のあとがきではっとしました。これはとしの側から見れば必ずしもハッピーエンドとはいえないのかもしれません……。
このあとがきでの解説がわかりやす過ぎて。ひとりでいた世界からひっぱり出されてしまうことが、とし本人にとってはどういうことかは他人にはわからないですもんね。「おいで」といわれて「……」となる感じがなんだか切ないです。
それでも、まちを「好きになりたい」ととしは望んだわけなので、確かに愛はあるんだと思います。BLは愛があればいい!と思っている私にとっては、幸せの見える終わり方に感じられました。
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