モフリーノ先生とないしょのなつやすみ かわい恋(著)/みずかねりょう(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)モフリーノ…兎神。ロップイヤー風の垂れ耳。
(受)奏多(かなた)…高校生。あやかしが視える。
<あらすじ>
幼いころに木から転落し、謎の毛玉に命を救われた奏多。それ以来異形のあやかしが視えるようになり、突然現れるあやかしたちを恐れるあまり高校生になってもうまく人間関係を築けずにいました。
夏休みに祖母のいる田舎へ帰った奏多は、過去に奏多を助けてくれたのは山の兎神ではないかと聞かされます。兎神にならば自分の体質をなんとかしてもらえるかもしれないと考えた奏多は、単身山の奥深くへと向かいます。
<感想>
モフリーノ先生とは兎神さまのことだったのですね。人間姿のときはロップイヤーを思わせる白くて長い垂れ耳があり、とっても男らしい頼れる神様でした。
しかも先生は兎のときももうどうにもかわいいのです。短い手足で丸くてふわふわ、こんな生き物を見つけて逃がしてあげた奏多は本当に優しい子です。私ならそのまま連れて帰ります(そして祟られるに違いない)。
縁のある兎神さまにあやかしの視える体質を治してもらうため、一週間限定で先生と夫婦となる約束をした奏多。絡みのときの「せんせい」呼びに喜んだり、奏多を優しく褒めてくれる先生が心底楽しそうで、大変萌えさせていただきました。
一週間という短い期間ながら奏多が気持ちを自覚し、このままハッピーエンドの流れかな、と感じていたのですが。でもはっきりとはしないものの少しだけひっかかりというか、読んでいて違和感が残っていたのです。それが終盤で現れたあやかしの一言をきっかけに、一気に回収・解決されていく展開には驚かされ、明かされる真実は切なくも爽快でした。
すべての事情を知ったうえで先生の気持ちを考えるとかなりつらいものがありますが、その分健気さや男前度数は上がる一方です。のっぺらぼうさんも本当にいい働きをしていらっしゃいました。
先生の眷属・玉兎童子の皆様もあまりにもかわいくて登場の度悶えています(童子たちの寝姿には度肝を抜かれました)。みずかねりょう先生のイラストもモッフモフで、何度も眺めてはニヤニヤしてしまいます。
日常のすぐ近くに彼らがいそうな香りのする和風兎ファンタジー、大人の私にもなつやすみの思い出をいただけた気分です。(謎めいたタイトルから、読む前はモフモフの受を底抜けにかわいがる奇想天外な大学教授攻を妄想していたことはないしょです。)
<オススメ>
・垂れ耳兎神×あやかしの視える高校生。
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