狼に捧げたい―眷愛隷属― 夜光花(著)/笠井あゆみ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)弐式耀司(にしき ようじ)…討魔師。本家の長男。眷属は白狼。25歳。

 (受)伊勢谷柚(いせや ゆず)…討魔師。眷属は白鹿。21歳。


 (攻)弐式有生(にしき ゆうせい)…討魔師。本家の次男。眷属は白狐。

 (受)山科慶次(やましな けいじ)…半人前の討魔師。眷属は子狸。


<あらすじ>

 子供の頃、耀司に窮地を救われた柚は、耀司を信奉し人生を捧げる思いで弐式家で働き討魔師もしています。かわいい見た目とは裏腹に、耀司に失礼な態度の人間には容赦しない柚は、耀司や身に宿している白鹿の忠告にも耳を貸しません。
 討魔師の仕事を耀司と2人ですることになった柚は、耀司のためと単独行動を起こしますが……。


<感想>

 『眷愛隷属―白狐と狢―』、『きつねに嫁入り―眷愛隷属―』に続くシリーズ3作目です。2作目までの有生×慶次に続いて、今回は弐式家長男の耀司がメインとなっていました。時系列はそのまま2巻の後だと思われ、有生と慶次もちょこちょこ登場、最後にはこの2人の短編も収録されていました。

 最初だけ子供の頃の耀司の視点で、柚との出会いが語られます。弐式家の遠縁でありながら不遇な環境で育った柚、耀司によって助け出されたときは不憫健気受なのかと思いました。ところがその後大人になった柚は、有生にタスマニアデビルと呼ばれるほどの凶暴なお方に成長していらっしゃいました。見た目はかわいいのに、耀司に心酔するあまり他の人には容赦ない態度をとる柚さん。こちらのシリーズの受は今のところ皆さん強気です。

 有生にも媚びずに話せる柚ですが、慶次とはまた違った強気さです。耀司以外の人への態度が違うとはいえ、猫を被っているわけではないので耀司も状況は把握しています。柚へと度々忠告してはいるものの、柚の解釈はあさっての方向へ。耀司のためと暴走した柚はひとりで井伊家の人間のところへ突撃、それはそれは痛い目を見ることに。

 ここからは次々と柚を不運が襲います。もとは柚自身が蒔いた種とはいえ、受けた仕打ちはなかなか痛々しかったです。それでも最後にはそれを逆手に取っての行動には驚きました。タスマニアデビルはタダでは起きなかった……。

 耀司の方も、極端な柚に苦言を呈しながらも憎からず思っており、結局は甘やかしてきた様子。そんな耀司の扱いがタスマニアデビルを生んだわけなので、ふたりの今後については安心できそうです。

 それから圧倒的に強かった弐式兄弟には大変萌えました。有生だってすごいはずなのに、耀司はそれを上回る風格があるように見えます。白狼かっこいい(慶次が憧れるのもわかります)。長男と次男の、なんだかんだで互いのことをわかっていそうな会話にニマニマしました。瑞人については不安が残りますが、いつか彼の根性を叩き直してくれる人が現れることを祈っておきます。

 最後には短編『痴話げんかは狸も食わない』が収録されていました。こちらは有生×慶次のお話で、柚に頼み事をされた慶次の事の顛末が語られます。このふたり、びっくりなことに未だに恋人じゃないんですよね。子狸がこんなに懇切丁寧に教えてくれているのに……。その点に関しては子狸が一番しっかりして見えます。


<オススメ要素>

・王者長男×タスマニアデビル。


<関連作品>

・シリーズ
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